タイトル |
ウンシュウミカン作農家の隔年結果対策の実態と経営改善の方向 |
担当機関 |
和歌山農総技セ |
研究期間 |
2003~2005 |
研究担当者 |
--辻 和良
熊本昌平
室岡順一(近中四農研)
島義史(近中四農研)
迫田登稔(近中四農研)
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発行年度 |
2005 |
要約 |
ウンシュウミカン作農家は従来からの隔年結果対策に加えて、隔年結果是正と高品質生産を両立する技術に期待するとともに、費用の節減、マルチ栽培等の高品質化、直売等の販売対応の工夫、品種更新や品目の転換、作業道導入等の省力化を目指す。
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キーワード |
ウンシュウミカン、隔年結果、アンケート調査、経営対応
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背景・ねらい |
ウンシュウミカン作農家では、隔年結果により生産量・価格が大幅に年次変動し、これによる経営の不安定化と収益性の低下が大きな問題となっている。そこで、アンケートの調査結果をもとにウンシュウミカン作農家がこれまで取り組んできたウンシュウミカンの隔年結果への対応と今後の方向・課題を明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- 農家がこれまでに取り組んだ隔年結果対策は、「整枝・剪定」、「施肥」、「間伐・縮伐」、「改植」、「慣行摘果」、「葉面散布」、「土壌改良材・有機物の施用」など慣行的な是正技術が上位を占める。また、隔年結果を起こしていない農家は起こしている農家に比べて、「改植」、「葉面散布」、「慣行摘果」、「樹冠上部摘果」、「潅水対策」などの実施率が高い(図1)。農家の今後の取り組みに対する意向をみると、これまで取り組んだ慣行技術に加えて「樹冠上部摘果」、「後期重点摘果」など隔年結果是正と高品質を両立させる技術の新規導入希望が多い(図2)。
- 隔年結果是正対策の問題点は「期待する販売金額が得られない」、「手間が足りない」、「単価の見通しがつかない」、「対策技術が難しい」、「気象の見通しがつかない」、「資材・経費が高い」などである。このことは、1)是正対策が高品質生産・高価格販売の産地戦略に結びつくこと、2)対策技術に省力性、使いやすさ、低コスト、安定性が求められること、3)普及・広報が必要なことなどを示す。また、大規模層には省力的であることが最も求められており、他方、高齢者・兼業農家が多い小規模層では対策技術が難しくないことが求められることにも留意が必要である(図3)。
- 農家がこれまでに取り組んだ経営改善対策は、「ウンシュウミカンの品種更新」、「品種転換(ウンシュウ→ウンシュウ以外のカンキツ)」、「ウンシュウミカンの面積拡大」、「モノレール導入」、「マルチ栽培の導入・拡大」、「作業道導入」などである。今後農家は「経費のかかるもの」や「規模拡大に関わるもの」、「既に取り組み済みのもの」などには消極的であり、取り組みが増加するのは、「費用の節約」、「出荷期間の前進化・期間延長」、「遊休地拡大」、「直売」、「特別栽培」、「マルドリ導入」等である。農家は経営対応として、これまで取り組んだ品種の更新・転換や省力化に加えて、低コスト化、高品質化、販売対応の工夫などを目指している(図4)。
- 高齢者・兼業農家が多い小規模層に比べて、専業農家が多い大規模層ほど品種・品目の転換やマルチ栽培導入による高品質化、作業道やスプリンクラー導入等の省力化、雇用労働の導入など、積極的な対応を希望する経営の比率が高い(図4)。
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成果の活用面・留意点 |
- 普及、農協、行政、試験研究担当者がウンシュウミカン作農家への指導や隔年結果是正技術の導入・開発を行う際の資料として活用できる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
温州みかん
改植
規模拡大
経営管理
出荷調整
省力化
施肥
低コスト
土壌改良
品種
その他のかんきつ
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