タイトル |
農産物直売所の利用状況と食に対する考えや行動との関連 |
担当機関 |
愛媛農試 |
研究期間 |
2004~2006 |
研究担当者 |
石々川英樹
山本和博
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発行年度 |
2005 |
要約 |
農産物直売所の利用頻度や購入金額は、50歳代から70歳代で高い。その世代は、健康に対する意識や、地元産食材に対する志向が高く直売所の利用頻度との関連が推察される。
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背景・ねらい |
中山間地域を中心に定着している農産物直売所は、高齢者や小規模生産者の所得向上や生産者と消費者の交流の場として重要な機能を発揮している。今後、さらなる直売所の活性方策を検討するために、農産物直売所の利用状況を把握するとともに、直売所の利用頻度との関連が予想される、消費者の「食に対する考えや行動」について、因子分析により検討を行う。なお、調査対象は愛媛県内に在住し、年齢や居住地、職業などを考慮して選ばれた150名の県政モニターとする。
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成果の内容・特徴 |
- 直売所の利用頻度は60歳代が最も多く、次いで70歳代、50歳代となり、20歳代は極端に少ない。6ヶ月当たりの直売所における推定購入金額は、50歳代、60歳代が多い(図1,2)。
- 食に対する考えや行動に関する因子分析から、健康志向因子、グルメ志向因子、地元産志向因子の3因子が抽出できる(表1)。
- 回答者の年齢層別各因子得点の平均値から、健康志向と地元産志向は年齢が上がるにつれて大きくなる傾向が見られ、20歳代の健康に対する意識や地元産の食材に対する意識は非常に希薄である(図3)。
- グルメ志向因子は、40、60、70歳代で低い。その要因として、60、70歳代については、年齢の経過に伴って美味しい物に対する欲求が少しずつ減少する状況を推察する。一方、40歳代については、経済的あるいは時間的な制約などの外部的な要因が影響し、美味しさを追求しにくい状況にあることが推察される。
- 直売所の利用頻度と因子得点との相関係数(スピアマンの順位相関係数)は、健康志向因子が0.346***、地元志向因子が0.304***で、利用頻度と年齢との相関係数0.264**よりも高い。なお、利用頻度とグルメ志向因子との相関係数は0.162である(***および**はP値から、それぞれ0.1%および1%水準で有意であることを示す)。
- これらのことから、直売所の利用頻度は消費者の健康志向や地元志向と関連し、年齢が高くなるにつれて健康や地元産食材に対する志向が強まり、その欲求を実現する場所として直売所が利用される状況が推察される。
- 直売所の活性化方策として、当面は利用頻度の高い50歳代以上の利用者を意識した運営を重視する一方で、若い世代をターゲットとした、味重視の加工品開発の他、地元産食材について「味」の優位性が確保されている品目については、試食会などのPR活動が有効と思われる。
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成果の活用面・留意点 |
- 直売所活性化策の検討に活用できる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
あま
加工
中山間地域
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