タイトル |
徒長枝を利用したクリ「筑波」の超低樹高整枝法 |
担当機関 |
兵庫農総セ |
研究期間 |
2003~2005 |
研究担当者 |
水田泰徳
真野隆司
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発行年度 |
2005 |
要約 |
せん定位置(結果母枝の基部)の高さを2m以下とする超低樹高整枝の「筑波」は、低樹高整枝と比較してせん定作業が省力化される。また、その徒長枝は着花や結実が良好であり、結果母枝として利用することで低樹高整枝とほぼ同等の収量や品質が得られる。
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キーワード |
クリ、整枝法、低樹高、結果母枝、収量、果実品質
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背景・ねらい |
現在、クリの低樹高整枝(せん定後の樹高3.5m)が現場で普及しているが、脚立作業などを少なくして、せん定作業等の省力化、軽労化を図るため、より一層の低樹高化が望まれている。強い樹高短縮を行った樹体からは長さ1m以上の徒長枝が多発することが多く、その結果母枝としての結実性や収量性を明らかにし、徒長枝を利用した超低樹高化栽培技術を開発する。
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成果の内容・特徴 |
- 超低樹高整枝のせん定は、(1)樹高制限(結果母枝の基部の高さが2m以下になるように、樹冠上部の側枝等を間引き的に切り返す)、(1)側枝の間引き(近接する側枝、下垂する側枝を間引く)、(2)結果母枝の間引き(樹冠占有面積1m2当たりの結果母枝が3~4本程度になるように1年生枝を間引く)を行う。なお、結果母枝は前年の着果の有無を問わず利用できる。
- 「筑波」の超低樹高整枝樹では、結果母枝の基部径が太い、長さが長い、発生角度が大きいほど、母枝当たりの雌花数が多く、生理落果後の着きゅう数も多い傾向が認められる。これらの枝では母枝当たりの収量も多いが、果実重に明確な差はみられない(表1)。
- 徒長枝を利用した超低樹高整枝樹の13~15年生時における永久樹の樹冠占有面積は、対照とした低樹高整枝樹の約90%で、樹高は0.4m低い3.6m程度となる(表2)。
- 超低樹高整枝樹において徒長的な結果母枝を利用すると、3か年平均の収量(10a当たり)及び2L以上の果実割合は、対照の520kg、91%に対して、510kg、89%とほぼ同等となる(表3)。
- 整枝法の違いにかかわらず、間伐の終了(15年生時)に伴って単位面積当たりのせん定時間は大きく減少するが、せん定位置が2m以下となる超低樹高整枝樹のせん定作業時間は対照樹と比べて10%程度少なくなる(表4)。
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成果の活用面・留意点 |
- 本法の導入にあたって、樹高が高い場合は、主幹部のカットバック、あるいは主枝、亜主枝等を1.5m程度まで切り返し、下枝の育成を図りながら適用する。
- 本成果は、「筑波」における結果であり、他品種への適用に際しては検討が必要である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
くり
軽労化
栽培技術
省力化
低樹高
品種
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