タイトル |
カドミウム非汚染土壌で発生するカドミウム米生産防止対策 |
担当機関 |
愛媛農試 |
研究期間 |
2004~2006 |
研究担当者 |
大森誉紀
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発行年度 |
2006 |
要約 |
カドミウム非汚染水田土壌でもカドミウム米が生産されることがある。出穂期の前後各3週間は、 常時湛水でなくとも湛水期間が7割程度の間断かん水で玄米のカドミウム吸収を抑制できる。石灰質肥料 700kg/10a以上の施用は3年程度の持続効果が期待できる。
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キーワード |
玄米、カドミウム、非汚染土壌、出穂期、間断かん水
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背景・ねらい |
愛媛県の燧灘沿岸西部地域では、平成14年度以降、玄米中カドミウム濃度が0.4ppm以上1.0ppm未満の米 (以下「カドミウム米」という。)が産出し、産地を上げてカドミウム米の生産防止対策(出穂期前後の水 管理や土壌改良資材の投入)に取り組むこととなった。しかし、出穂前後の湛水管理は農家の負担が大きく 対策実施の徹底が問題になった。 そこで、県内水田土壌のカドミウム濃度の分布を調査するとともに、カドミウム米生産防止対策の 現地実証や対策実施農家の追跡調査を通じて、現地に適したカドミウム米生産防止対策に資する。
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成果の内容・特徴 |
- 愛媛県内の水田土壌中可給態カドミウム(0.1M塩酸浸出)濃度の平均は0.21mg/kgである。 燧灘沿岸西部に位置するB普及センター管内の水田が県下で最も高く、平均で0.28mg/kg (最大0.43mg/kg、最小0.12mg/kg)であるが、全国の非汚染地域水田の平均値(0.295mgkg-1(浅見ら)、 0.33mgkg-1(日本土壌協会))と同程度である(表1)。
- 現地の土壌を用いたポット栽培では、土壌pHを6.5以上に矯正することにより玄米中カドミウム 濃度は低くなる。また、出穂期の前後各3週間、常時湛水でなくとも土壌が湿潤であれば玄米中 カドミウム濃度を低く抑えることができる。落水が2日以上ある間断かん水では土壌が乾燥しやすく、 玄米中カドミウム濃度が高まる(図1)。
- 現地圃場で、石灰質肥料を中和石灰量の倍量相当施用すると、玄米のカドミウム吸収が3年間は 抑制できる(図2)。
- カドミウム米生産防止対策を実施した農家の入水状況からみて、出穂期の前後各3週間の水管理は、 当地域では常時湛水でなくとも湛水期間が7割程度の間断かん水で玄米中カドミウム濃度を低く 抑えられる。この期間の節水管理は玄米中カドミウム濃度を著しく高める (図3)。
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成果の活用面・留意点 |
- 燧灘沿岸地域のカドミウム非汚染土壌地域で適応できる。
- 日減水深の大きなほ場では、入水間隔は短く設定する。水はけの良い乾田では足跡水程度の 走水灌漑は避ける。
- ごま葉枯病の発生防止のため、中干しは適期に実施する。
- 土壌pHの低いほ場では、土壌のpH緩衝能を考慮して土壌改良材を散布し酸性矯正を実施する。 土壌pHが適正なほ場でも、定期的な土壌改良材散布に努めたうえで、適正な水管理を行う。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
肥料
乾燥
ごま
水田
土壌改良
水管理
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