タイトル |
タマネギ残さ炭化物の露地野菜への効果的施用法 |
担当機関 |
兵庫農総セ |
研究期間 |
2003~2005 |
研究担当者 |
小林尚司
西口真嗣
大塩哲視
牧 浩之(農林水産環境部)
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発行年度 |
2006 |
要約 |
タマネギ残さ炭化物の育苗培養土への5~10%混合でレタスやタマネギ苗の生育が促進される。 本圃への100~400kg/10a施用で土壌容積重が減少、保水性が向上しタマネギの収量が増す。ハクサイ定植時 植え穴5~20g混和で根こぶ病が抑えられ収量が増す。
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キーワード |
タマネギ、炭化物、生育促進、土壌改良、根こぶ病
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背景・ねらい |
淡路地域のタマネギ生産量は年間約11万トンになるが、腐敗や調製などにより残さ量は生産物の 約10%と、その処分が問題である。炭化処理は、高温で殺菌するため病害発生の恐れがなく、資源の 再利用を進める有効な手段と考えられる。 これまでに、タマネギ炭化物は、木炭に比べカリウム他のミネラル成分が豊富で、500kg/10a施用までは 土壌の可給態窒素やリン酸は増加しないことを報告した(近中四農研成果情報2005.牧ら)。 ここでは、タマネギ炭化物の野菜に対する効果的な施用法の確立を目的に、育苗培養土への混合、 本圃への施用、植え穴への局所施用について検討した。
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成果の内容・特徴 |
- タマネギ残さを約500℃で2~3時間炭化すると、容積重が137g/Lと小さく、カリウム、 カルシウムの灰分含量が高く、pHが高い特徴を持った炭化物となる (表1)。
- セル育苗培養土へタマネギ炭化物を5~10%(v/v)混合すると、レタス苗の草丈・地上部生重、 タマネギ苗の葉鞘径・地上部生重が大きくなり、生育が促進される (図1)。
- 本圃へは、400kg/10aまで施用量が増すほどタマネギの2L球の収穫割合が高くなり総収量が増加する。 土壌容積重は、施用量が増すほど小さくなり、土壌の三相分布では、気相率が無施用の40.6%から 400kg/10a施用により34.0%に低下し、液相率が14.9%から18.0%に高くなり、土壌水分の保持力が増す (図2)。これらの土壌改良効果やミネラル成分の補給が収量の 増加をもたらすと考えられる。
- ハクサイ定植時の植え穴に炭化物を混和すると、根こぶ病の発病程度は施用量が増すほど軽くなり、 20g区は対照薬剤区と同等の発病抑制効果が認められる。収穫球重も、施用量が増すほど大きく、 10g区で対照薬剤区と同等となり、収量は、無施用区の5.5t/10aに対し、炭化物施用10g、20g区では 9t/10a以上と高くなる(表2)。
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成果の活用面・留意点 |
- タマネギ残さの炭化処理施設は平成18年に南あわじ市で複数箇所に導入され、1つの施設での タマネギ残さの処理能力は、200kg/hで1日当たり1.6tとなり、約50kgの炭化物が生産され、 JAや南あわじ市で1袋40Lを300円で販売されている。
- 育苗培養土への混合比率が10%を超えると、pHが高くなり初期の生育が抑制されるため、 培養土への混合は10%までとする。
- ハクサイの定植時植え穴混和処理は、20g/株で根こぶ病に対する発病抑制効果は最も高いが、 定植後の生育がやや遅れ、その後生育は回復する。10a当たりのコストについては、 スルフルファミド粉剤20kg土壌混和処理で約8,500円の薬剤費を要するのに対し、10g/株穴施用で 1,800円の資材費と植え穴混和処理の作業が必要となる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
育苗
コスト
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たまねぎ
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薬剤
レタス
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