メタアルデヒド剤トラップを用いたチャコウラナメクジの生息密度および防除効率の推定

タイトル メタアルデヒド剤トラップを用いたチャコウラナメクジの生息密度および防除効率の推定
担当機関 大阪食とみどり技セ
研究期間 1992~2005
研究担当者 柴尾 学
田中 寛
発行年度 2006
要約 等間隔に配置したメタアルデヒド剤のトラップを用いて誘殺数を短期間に連日測定し、除去法を用いて 解析することにより、チャコウラナメクジの生息密度、防除効率等を推定できる。
キーワード チャコウラナメクジ、メタアルデヒド、トラップ、生息密度、防除効率推定
背景・ねらい チャコウラナメクジはさまざまな野菜・花き・果樹の重要害虫であるが、土壌中で多く行動し、 また夜行性のため生態・行動に不明な点が多く、生息密度や各種資材の防除効率推定が行われていない。 そこで、等間隔に配置したメタアルデヒド剤のトラップを用いて誘殺数を短期間に連日測定することにより、 生息密度、防除効率等を推定する。
成果の内容・特徴
  1. カンキツ露地圃場内に正方形各1 m2区画を165個(15 m×11 m、165 m2) 設置し(図1左)、六角錐屋根型透明容器(底面直径11cm×高さ8cm; 図1右)にメタアルデヒド粒剤1 gを入れたトラップを、ナメクジの 行動が活発な6月に1週間毎日、各区画の中央に夕方配置して翌朝に誘殺虫数を調査する。外部からの 侵入の影響を排除するために外縁部の48区画を除き、得られた結果を樹下、密な枯草地、疎らな枯草地、 裸地の生息場所別および全体の別に除去法を用いて解析する。
  2. 密度推定結果:裸地を除き、除去法の回帰直線は5 %レベルで有意で、推定生息密度 (個体数/m2)は樹下40.5、密な枯草地31.1、疎らな枯草地21.9、裸地5.6、全体25.6であり、 好適な生息場所ほど生息密度が高い傾向が認められる(表1、 図2)。
  3. 誘殺効率(初回誘殺率;%):樹下29.8、密な枯草地34.9、疎らな枯草地41.8、裸地76.3、 全体37.8であり、好適な生息場所ほど誘殺効率が低い傾向が認められる(表1)。
  4. 侵入速度の暫定的推定:外縁部と中央部の区画における生息密度の差 (外縁部28.6-中央部25.6=3.0)に基づいて、1週間あたり幅1 mあたり3.0個体の侵入が生じていると 暫定的に推定できる。
  5. ばらまき処理との防除効率の比較:別途100~500 m2の隔離された圃場、庭園において メタアルデヒド剤を100 g/100 m2ばらまき処理し、防除効率を推定したところ、 処理前のトラップあたり誘殺数が10未満の場合は100 %、10以上の場合は67.5~97.5 %であり、 上記試験(1 m間隔1 g処理)の全体37.8 %より高い。メタアルデヒド剤の登録上の処理方法は 100 g/100 m2ばらまき処理または1 m 間隔1 g 処理となっているが、本結果により、 前者のほうが高い防除効率が得られると考えられる。
成果の活用面・留意点
  1. 除去法を用いてメタアルデヒド剤トラップへの誘殺数を解析することにより、チャコウラナメクジの 生息密度および防除効率を高い精度で推定でき、本種に対する各種防除技術の評価にあたってきわめて 有用であると考えられる。
  2. チャコウラナメクジのメタアルデヒド剤トラップへの誘殺は5~7月に多く、他の時期には 少ないため、高い精度で生息密度、防除効率等を推定するためには、試験を5~7月に行う必要がある。
  3. チャコウラナメクジの侵入や移動分散速度を評価するにあたっても本方法は有用と考えられるが、 その精度を高めるためにはさらに試験方法を改良する必要がある。
図表1 220351-1.jpg
図表2 220351-2.jpg
図表3 220351-3.jpg
カテゴリ 病害虫 害虫 ばら 防除 その他のかんきつ

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