タイトル |
極細糸防虫ネットによる施設トマトのタバココナジラミ侵入抑制 |
担当機関 |
広島総研 |
研究期間 |
2006~2008 |
研究担当者 |
松浦昌平
星野 滋
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発行年度 |
2007 |
要約 |
極細糸を使用した0.4mm目合い防虫ネットはタバココナジラミバイオタイプQの侵入抑制効果が高く、夏秋トマト施設側窓に設置した場合(循環扇あり)のトマト草冠内気温およびトマト生育・収量は1mm目合い防虫ネット(循環扇なし)と同等である。
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キーワード |
極細糸、防虫ネット、0.4mm目合い、タバココナジラミ、バイオタイプQ、TYLCV
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背景・ねらい |
タバココナジラミバイオタイプQはトマト黄化葉巻ウイルス(TYLCV)を媒介し、かつ、薬剤抵抗性が発達しているため、施設トマトを中心に全国で問題となっている。本害虫は0.4mm目合いの防虫ネットを設置すると本害虫の侵入を抑制できるが、施設内の気温上昇が問題となる。そこで、近年開発された極細糸使用防虫ネットによる、タバココナジラミの侵入抑制効果および施設内気温上昇程度を評価する。
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成果の内容・特徴 |
- 立方体フレームに各種ネットを覆いタバココナジラミバイオタイプQ発生キュウリ施設に配置したところ、極細糸使用0.4mm目合いネットはタバココナジラミバイオタイプQの侵入を、対照(4mm目合いの防風ネット)の5%以下に抑え、その抑制程度は従来糸使用0.4mm目合いネットおよび極細糸使用0.3mm目合いネットと同等である(図1)。
- 同フレーム内の気温を調査すると、対照に比較し、従来糸使用0.4mm目合いネットは最高気温が2.2℃上昇したが、極細糸使用0.4mm目合いネットは1.7℃の上昇に抑制される(図2)。外部からの風をフレーム内で測定すると、極細糸使用ネットは対照の約60%の風速で、従来糸使用ネット(36%)と比べ風通しがよい(データ省略)。
- 鉄骨ハウス側窓に極細糸使用0.4mm目合いネットを設置(循環扇あり)した場合、トマト草冠内の気温推移は慣行の1mm目合い防虫ネットを設置(循環扇なし)した場合と同等であり、月別の平均最高気温差も1℃以下である(図3)。また、施設内相対湿度および葉面結露時間も両区間で同等である(データ省略)。
- 極細糸使用0.4mm目合いネットを設置した場合の夏秋トマトの着果率ならびに粗収量は、ほとんどの生育ステージにおいて慣行の1mm目合い防虫ネットと同等である(図4)。また、尻腐れ果実発生率も両処理区間で同等である(データ省略)。
- 以上から、極細糸使用0.4mm目合い防虫ネットを施設開口部に設置(循環扇あり)することで、施設内の気温上昇を慣行の1mm目合い防虫ネット並に抑制し、タバココナジラミバイオタイプQの侵入を効果的に抑制する。
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成果の活用面・留意点 |
- 降温化を図るため、防虫ネットを設置する開口部面積は可能な限り広くする。
- 循環扇を用いた空気攪拌による施設内気温変化および作業環境改善の評価は未実施である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
害虫
きゅうり
タバココナジラミ
抵抗性
トマト
薬剤
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