タイトル |
レタスの新病害「レタスピシウム萎凋病」(新称) |
担当機関 |
兵庫農総セ |
研究期間 |
2004~2006 |
研究担当者 |
松浦克成
神頭武嗣
相野公孝
岩本 豊
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発行年度 |
2007 |
要約 |
Pythium uncinulatumがレタスの導管および髄部に褐変症状を生じさせ、結球不良の原因となる。本症状を新病害としてレタスピシウム萎凋病と提案する。
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キーワード |
レタス、ピシウム萎凋病、Pythium uncinulatum
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背景・ねらい |
兵庫県淡路島南部の連作を行っているレタス露地ほ場において髄部が褐変し、萎れる症状が発生したので、原因究明を行い対策に資する。
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成果の内容・特徴 |
- 本症状は冬期に結球する株に発生する。発病した株では萎凋症状が見られ、株を切断すると導管および髄部が褐変し、株によっては中肋まで褐変する(図1)。発病株は収穫できなくなる。
- 褐変した髄部分からPythium属菌が分離される。分離した2菌株はいずれも無傷接種でレタス苗に萎凋、導管の褐変が再現される。また、病徴が再現する部位からは接種菌と同一の菌が再分離される。
- 本菌はV8ジュース寒天培地上で薄い白色の菌叢を形成する。菌糸生育温度範囲は5~27℃、明確な生育適温のピークは見られず5~20℃以外の温度域では極端に生育が劣る(図3)。遊走子のうは直径22~42μmの球状で、蔵卵器の直径は25~42.5μmで表面に先端が鋭い円錐状の棘状突起を有している(図2、表1)。1つの蔵卵器に、1つの蔵精器柄から生じる1~5個の蔵精器細胞の付着が見られる。卵胞子は非充満性で直径20~32.5μmである。以上より分離菌をPythium uncinulatum Plaats-Niterink & Blokと同定する。さらにrDNA-ITS領域配列は本種標準株(CBS518.77)と高い相同性(99.4%)を示す。
- Pythium uncinulatumによるレタス病害の発生はオランダ、アメリカでは報告されているが国内未報告種である。本病害をレタスピシウム萎凋病と日本植物病理学会に申請中である。
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成果の活用面・留意点 |
- 本病と同様な症状を示す病害にはレタス疫病、レタスバーティシリウム萎凋病があり、病徴からは簡単に見分けることができないが、病患部に棘状突起を有する蔵卵器を形成していれば区別は可能である。ただし併発している可能性もあるので注意を要する。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
病害虫
レタス
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