タイトル |
栽培環境がコマツナ軟弱野菜のミネラル成分に及ぼす影響 |
担当機関 |
兵庫農総セ |
研究期間 |
2005~2007 |
研究担当者 |
小河 甲
斎藤隆雄
牧 浩之
青山喜典
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発行年度 |
2007 |
要約 |
コマツナの養分含有率は夏作ではK、Ca、冬作ではFeが高くなる。また、土壌が乾燥条件下ではKやFe、Mnの含有率は増加する。
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背景・ねらい |
国民栄養調査(2002年)によると、日本人が摂取している必須元素の野菜依存率は高い。しかし、野菜に含まれるミネラル含有率は、日本食品標準成分表によると五訂(2000年)は四訂(1982年)と比較して大幅に減少し、減少率の高いものでは、コマツナのCaが41%、ホウレンソウのFeでは46%も減少している。また、それに伴い日本人の必須元素欠乏症も増加している。野菜のミネラル含有率が低下したとされる原因を明らかにし、高ミネラル野菜を生産することは、日本人の健康増進に結びつくと考えられる。そこで、栽培時期、土壌水分および温度の違いが野菜のミネラル吸収に及ぼす影響について、コマツナを用いて検討する。
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成果の内容・特徴 |
- 雨よけハウスでコマツナ品種「楽天」を2年間栽培したところ、夏作でKとCaの含有率が高く、年次変動も小さい。一方、FeとMnは冬作で比較的安定して高い傾向があるものの夏作で変動が大きく、季節以外の要因を大きく受けると考えられる(図1)。
- 土壌水分の違いは、コマツナの水分含有率に大差は与えない。しかし、内容成分は大きく異なり、標準区に比べ生育量の小さい乾燥区でK、Mg、Fe、Zn、Cu、MnおよびビタミンC(V.C)が高くなる。また、湿潤区ではKが低く、Feが高くなる。一方、生育量の大きい標準区では微量元素の含有率が低く、特にFeは他区に比べて非常に少ない(表1)。
- 高温区では葉長が大きくなるが、株重と葉色(SPAD値)は小さくなる。内容成分では、低温区でFe、MnおよびV.Cが高くなるものの、それ以外の水分および多量元素などは逆に高温区で高くなる(表2)。この原因について生育温度が土壌養分に与える影響について、コマツナ栽培土壌と同様の管理をした無栽培土壌で比較すると、高温区では交換性塩基がやや増加する傾向が認められる(表3)。
- 以上の結果、コマツナの養分含有率の変化は元素によって異なり、土壌が乾燥条件でKやFe、Mnなどの含有率は増加する。一方、高温栽培条件では多量元素の含有率が増加し、土壌中の交換性塩基がやや増加傾向であることも影響している。また、低温栽培条件では、土壌に関係なく、コマツナのFeとMnの含有率は増加している。その結果、夏作のKとCa、冬作のFeとMnの含有率が高くなり、夏作の乾燥状態によって、FeとMnの変動が大きくなる。
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成果の活用面・留意点 |
- 本成果は高ミネラル野菜を栽培するための基礎資料として活用できる。
- 今後、日本食品標準成分表に示される生鮮野菜でのミネラル向上を図るため、水分含有率への影響について、検討を行う必要がある。
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図表1 |
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カテゴリ |
乾燥
こまつな
栽培条件
品種
ほうれんそう
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