数値標高モデルDEMを用いた傾斜地カンキツ園の斜面崩壊危険度の評価手法

タイトル 数値標高モデルDEMを用いた傾斜地カンキツ園の斜面崩壊危険度の評価手法
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 近畿中国四国農業研究センター
研究期間 2003~2007
研究担当者 吉村亜希子
島崎昌彦
福本昌人
発行年度 2007
要約 5mメッシュの数値標高モデルDEMを用いて、地形分析ツールTauDEMにより局所的な集水性を表す集水度という地形量のメッシュデータを作成し、集水度を指標にして園内各地点における豪雨時の斜面崩壊の危険度を評価する手法である。
キーワード 樹園地、斜面崩壊、標高、GIS
背景・ねらい 香川県と愛媛県の県境に近い地域には、雨に弱い砂岩泥岩互層の風化・崩積土が広く分布している。2004年には多くの台風が襲来したため、この地域の傾斜地カンキツ園において斜面崩壊が多数発生した。そこで、傾斜地カンキツ園の防災対策に資することを目的として、数値標高モデルDEM(標高のメッシュデータ)を用いて園内各地点の斜面崩壊の危険度を評価する手法を開発する。
成果の内容・特徴
  1. GISソフトのArcGIS(ESRI社製)に地形分析ツールTauDEM(ユタ州立大学のTarboton教授が開発したフリーのプラグイン)を組み込み、農林水産省の農地環境緊急対策事業で2000年に整備された5mメッシュのDEMを用いて、集水度のメッシュデータを作成する。集水度は、各メッシュの局所的な集水性を表すために考案した地形量である。
  2. まずTauDEMのD-infinity Flow Directions機能により各メッシュの傾斜度と流下方向角を求め、次にDecaying Accumulation機能により集水度を求める(図1)。Decaying Accumulation機能は、すべてのメッシュに一定量の雨水を与えて減衰させながら流下させ、各メッシュにおける、上位メッシュから流入した雨水の累積量を算出する(図2)。傾斜度(垂直距離/水平距離)を減衰乗数にして流入雨水の累積値を算出し、それを集水度とする。
  3. この集水度を指標にして、各メッシュにおける斜面崩壊の危険度を評価する。斜面崩壊が多数発生したカンキツ園(図3)における、危険度が高い(集水度が12.5以上)あるいは中程度(集水度が10.5~12.5)と評価されたメッシュは、斜面崩壊エリアと良く対応している(図4)。本手法により、斜面崩壊の危険性のある場所を概略的に把握することができる。
成果の活用面・留意点
  1. 本手法は、園地の再整備(地形改変)や園内作業道の造成を行う際に、コンクリートブロック等で補強を十分に行う必要のある法面や、暗渠の設置場所等を判断するために活用できる。
  2. 園内道沿いの法面で発生する小さな崩壊等、地形条件以外の要因(法肩の地盤・植生状態等)が主因となって発生する崩壊については本手法では評価できない。
  3. 地質構造や土質条件等の異なる他の地域で適用する場合には、評価基準を再検討する必要がある。
図表1 220519-1.gif
図表2 220519-2.gif
図表3 220519-3.jpg
図表4 220519-4.jpg
カテゴリ 傾斜地 評価基準 その他のかんきつ

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