タイトル |
水田転換畑に対応したヒマワリの高精度播種技術 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 近畿中国四国農業研究センター |
研究期間 |
2006~2008 |
研究担当者 |
高橋仁康
窪田 潤
藤本 寛
亀井雅浩
奥野林太郎
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発行年度 |
2008 |
要約 |
水田転換畑でのヒマワリ栽培において、既存の麦・大豆用播種機に密植を防ぐヒマワリ種子用ロールを装着し、湿害を回避できる簡易畝立て同時播種方式と組み合わせることにより、適切な苗立間隔を確保でき、子実収量が期待できる。
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キーワード |
ヒマワリ、播種、畝立て、水田転換畑、播種ロール
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背景・ねらい |
ヒマワリは湿害に弱いため、水田転換畑で作付けする場合、降雨条件などにより苗立が不安定になりやすい。一方、ハイブリッドサンフラワーなどの油糧用ヒマワリの場合、手播きや間引きにより苗立を90cm×40cmに1本とすることが理想的であるが、機械播種ではロスなどを考慮し75~80cm×20~25cm程度に1粒の間隔で設定している。既存の麦・大豆用播種機を利用して播種する現状では、不整形なヒマワリ種子の種子詰まりを回避するため、播種量が設定より過剰となる場合が多い。適正な苗立間隔確保のため、ヒマワリの1粒点播が可能な播種ロールと、簡易畝立て同時播種方式を組み合わせた、高精度な播種技術を開発する。
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成果の内容・特徴 |
- ヒマワリ種子用ロール(図1)は、らせん溝と種子穴を組み合わせた構造で、ロール自体に種子供給機能、ブリッジ防止機能があり、ヒマワリ種子に適した1粒点播が可能である。播種量は駆動輪ギアの設定のみで調整する。
- ヒマワリ種子用ロールを使用すれば、従来問題となっていた種子詰まり回避のための過剰播種による密植が減少する。現地生産組合が所有する麦・大豆用播種機(平畝方式)にヒマワリ種子用ロールを装着すると、苗立間隔20cm以下の密植部分は既存の横溝式繰り出しロール使用時の49.5%から29.5%に低下し(図2)、必要播種量も少なくなる。
- 簡易畝立て同時播種方式は、慣行のダウンカット式ロータリ耕うん機の耕うん爪を2畝内盛りに配列するもので、サイドリッジャの併用を推奨する。耕うん幅は畝より若干広い方がよく、2畝で160cm~180cmとする。現地灰色低地土の場合、使用トラクタ26kW、作業速度0.49m/s、耕深12cm、含水率23%で、耕うん底からの平均畝高さ23cmの畝が成形できる(図3)。
- 現地水田転換畑へ基肥として堆肥を2トン散布し、ヒマワリ種子用ロールを使用する簡易畝立て同時播種方式により播種後、トリフルラリン除草剤(商品名:トレファノサイド乳剤)を規定量散布し、草丈30cmの時期に中耕・培土する場合のヒマワリの子実収量は、229g/m2である。ただし、中耕・除草をしない場合は子実収量が155g/m2 に低下し、手除草により完全に除草する場合はヒマワリの根を傷め易く190g/m2へ減収する。さらに中耕・除草時期に、現地慣行のN成分2.1kg/10aを追肥する場合では240g/m2に増収し、同10kg/10aの多追肥では298g/m2へ増収する(図4)。
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成果の活用面・留意点 |
- 既存の横溝式繰り出しロールを使用する麦・大豆用播種機を所有していれば、繰り出しロールとヒマワリ種子用ロールを交換することで使用できる。
- 簡易畝立て同時播種方式では、播種機の接地駆動輪が通常より低い位置で接地するため、支持アームの延長加工が必要となる場合がある。
- 水田転換畑では、簡易畝立てによる溝と連絡する額縁明渠を播種前に施工しておくことにより、排水を促すことが望ましい。
- 鳥害対策として、地域で播種時期を揃えることが望ましい。
- 試作したヒマワリ種子用ロールは現地に普及が見込まれ、メーカーに技術移転を図る予定である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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図表6 |
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図表7 |
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図表8 |
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カテゴリ |
病害虫
加工
湿害
除草
除草剤
水田
大豆
鳥害
播種
ひまわり
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