タイトル |
広葉樹チップを用いた低コスト脱臭装置の開発 |
担当機関 |
京都畜技セ |
研究期間 |
2006~2008 |
研究担当者 |
平野幹典
矢野穣二
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発行年度 |
2008 |
要約 |
合板で四方を囲ったます型槽に、広葉樹チップを充填し硝化汚泥を散布した脱臭槽で、稼働後2年半以上にわたり高いアンモニア除去能力を維持できる。構造が単純であるため自力施工も可能で、市販品に比べ極めて低コストの生物脱臭装置として、農家へ提案することができる。
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キーワード |
広葉樹チップ、低コスト、アンモニア除去、生物脱臭
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背景・ねらい |
悪臭問題への対応方法の一つである脱臭装置は、市販のものでは高価である場合が多く、また、農家自身で設置することを想定した簡易で低コストな脱臭装置の構造、仕様及び設置方法等についての提案はない。そこで、農家自身の自力施工や地元業者による請負施工で設置が可能な脱臭装置を開発・提案するとともに、生物脱臭によるアンモニアを主とする臭気の除去能力を調査し、脱臭装置の効果的な運転方法を明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- 脱臭槽は、コンクリート土間から25cm高のコンクリート側壁を立ち上げ、その上に合板で側壁を設ける(図1)。施工に際して一定の施工能力が必要な高い型枠や、コンクリート打設を省いた仕様のため、専門業者でなくても施工可能な形式である。なお、採卵鶏1,000羽規模に対応する設置費用は約112千円(人件費除く)であり、低コストで設置することが可能である。
- 脱臭槽の容積は約4m3、その中に広葉樹チップ(平均体積6.2cm3,平均表面積11.7cm2,総重量1.8t)を投入し、その上に硝化槽から採取した汚泥を70L上部から散布した。
- 硝化と脱窒の時の炭素供給源として、東北大学から機能性が高いと報告されている広葉樹チップを、脱臭槽のろ材として選択し、硝化菌、脱窒菌を含む汚泥を投入する。チップの物理性は、期間を通じて水分60%前後を保つなど保水力に優れ、また、稼働後2年半以上経過した段階でも圧密等による静圧の上昇が見られないなど、通気性も確保されており、脱臭ろ材に求められる条件を満たすものである。
- 鶏ふん乾燥ハウスからブロアー(表1)を用いて捕集するアンモニア濃度は、吸気部で最大200ppmに達するが、脱臭槽通過後の排気部では全期間を通じて2ppm以下となり、顕著なアンモニア除去効果が認められる。(図2)。
- 脱臭槽への通気前後でCO2濃度が50~3,800ppm増加していることから、広葉樹チップが硝化、脱窒菌への炭素供給源の役割を担い、他から有機物の供給を求めることなく生物脱臭が進行しているものと考えられる。(図3)。
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成果の活用面・留意点 |
- より大きな規模を対象とした施設を設置する場合は、本研究におけるろ材通過時間(速度)を用い、槽の大きさ(深さ)、槽の設置個所数等を調整することにより同程度の脱臭効果が期待できる。
- 降雨の場合この装置へ雨水が入るので、降水量に応じ装置下部から排水の除去が必要である。また、排水中には窒素化合物が含まれるので、窒素濃度を測定後液肥等として処理することが必要となる。
- 施設の詳細については、参考文献として、「京都府畜産技術センター試験報告第5号(2008)」を参照。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
乾燥
機能性
低コスト
鶏
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