小麦の穂発芽抵抗性に関連する分子マーカーの選択

タイトル 小麦の穂発芽抵抗性に関連する分子マーカーの選択
担当機関 九州農業試験場
研究期間 1995~1995
研究担当者
発行年度 1995
要約 小麦の半数体倍加系統を用い、穂発芽抵抗性に関連する分子マーカー(RAPDマーカー)を選抜した。その結果10個のRAPDマーカーが抵抗性を高め、5個が抵抗性を低めるのに関連し、両親の抵抗性を選抜するマーカーを見いだした。
背景・ねらい 小麦の穂発芽抵抗性には多数の遺伝子が関与するとされ、環境と年次により抵抗性の程度が変動し易く、選抜にはかなりの時間と労力を要する。分子マーカーを用いた穂発芽抵抗性の遺伝分析は、品種・系統の遺伝子構成を詳細に分析でき、実用品種を育成する際に役に立つ。また穂発芽抵抗性に関連する分子マーカーは間接選抜の指標となり、効率的な選抜が可能となる。本研究では、小麦の穂発芽抵抗性に関連する分子マーカー(RAPD;Random Amplified Polymorfic DNAマーカー)の選抜を行った。
成果の内容・特徴
  1. フクホコムギの穂発芽抵抗性は「極強」、Oligo culmは「弱」で、F1は中間の「やや強」である(図1)。フクホコムギとOligo culmのF1からトウモロコシ法で育成した314系統の半数体倍加(DH)の穂発芽抵抗性は「極強」~「弱」で連続的に変異することから、多数の遺伝子が関与する量的形質である(図1)。
  2. 50種のランダムプライマー(Operon社製、10mer)を鋳型にTaq Polymerase (Promega社製)を用いたPCRにより、フクホコムギとOligo culmの間に65個のRAPD多型が認められる。そのRAPDマーカーの分離と穂発芽抵抗性との t-検定による分析では、10個のRAPDマーカーが穂発芽抵抗性を高める傾向に関連し、他の5個が穂発芽抵抗性を低める傾向に関連する(図2)。
  3. 穂発芽抵抗性を高めるRAPDマーカーは、4連鎖群(No.5,6,13,14)と1単独因子に、穂発芽性を低めるRAPDマーカーは、2連鎖群(No.4,12)と1単独因子に座乗する(図2)。
  4. No.13及び14連鎖群の穂発芽抵抗性を高めるRAPDマーカーでは、抵抗性系統の70%以上がフクホコムギ型で、フクホコムギ由来の抵抗性の選抜に有効である。一方、No.4及び12連鎖群のマーカーでは、抵抗性系統がOligo culm型、穂発芽性系統がフクホコムギ型の傾向があり、Oligo culm由来の抵抗性の選抜に有効である。
成果の活用面・留意点
  1. 穂発芽抵抗性の選抜マーカーは、両親にDNA多型が認められる組合せで適用できる。
  2. 交配に用いる母体のもつ分子マーカーの型と穂発芽抵抗性の遺伝子型を確認する。
図表1 220654-1.gif
図表2 220654-2.gif
カテゴリ 小麦 DNAマーカー 抵抗性 とうもろこし 品種

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