パウダー用高カロテンカンショ新品種候補系統「九州114号」

• 担当機関: 九州農業試験場
• 研究期間: 1990～1997
• 発行年度: 1997
• 要約: カンショ「九州114号」は塊根中にβ-カロテンを多量に含み、高カロテン系統としては乾物率が高く、パウダー用加工原料に適する。南九州のカンショ作地域に適する。
• 背景・ねらい: 南九州では、でん粉原料用カンショの用途転換を図るために様々な利用法が検討されている。最近、有色カンショから高品質なパウダーを生産する技術が開発され、プラントが稼働している。そこで、パウダー用加工原料に適したカロテン含量や切干歩合が高いカンショ品種を育成する。

成果の内容・特徴

1. 切干歩合は「高系14号」並で、既存の高カロテン品種「ベニハヤト」より極めて高 い。
   
2. カロテン含有量は「ベニハヤト」よりやや少ないが、高い。
   
3. 収量は「高系14号」並で、「ベニハヤト」より多収である。
   
4. 蒸しいもの黒変は「中」で「ベニハヤト」より少なく鮮やかな橙色である。
   
5. 食味は「ベニハヤト」より優れる。
   
6. 病虫害抵抗性は、黒斑病に「やや弱」、ネコブセンチュウに「強」、ネグサレセンチ ュウに「中」である。
   
7. 貯蔵性は、「ベニハヤト」や「高系14号」より劣る「やや難」である。
   

成果の活用面・留意点

1. 南九州のカンショ作地域に適する。
   
2. 高カロテン、高乾物率であるのでパウダーやペースト加工用に適しているが、焼酎醸造原料用および青果用としても利用できる。
   
3. マルチ栽培ではいもが長く、かつ曲がりやすいので、掘取を丁寧に行う。
   
4. 貯蔵性が「やや難」であるので、いもの貯蔵温度に留意する。
   
5. 黒斑病抵抗性が「やや弱」であるので、同病害の多発地帯では防除に努める。
   

• カテゴリ: 病害虫 加工 かんしょ 新品種 抵抗性 品種 防除 良食味