ホルスタイン種去勢牛の濃厚飼料多給による育成は肥育成績、枝肉形質を低下させる

タイトル ホルスタイン種去勢牛の濃厚飼料多給による育成は肥育成績、枝肉形質を低下させる
担当機関 九州農業試験場
研究期間 1998~2000
研究担当者 原慎一郎
柴伸弥
松崎正敏
常石英作
発行年度 1998
要約 ホルスタイン種去勢牛を育成期に濃厚飼料多給で飼育すると、肥育期の増体、飼料要求率、ならびに枝肉歩留や肉質が若干劣り、枝肉中の脂肪蓄積が進行して赤肉の割合が低下する。また、育成期の血中のインスリン様成長因子-1濃度は濃厚飼料給与水準を良く反映した変化を示す。九州農業試験場・畜産部・栄養・飼料研究室
背景・ねらい 肥育素牛の過肥などの育成期の不適切な飼養管理が問題となっている。しかし、育成期の飼育方式とその後の肥育過程における増体や産肉性との関係は明らかになっていない。そこで、育成期の濃厚飼料給与水準が増体や枝肉形質に及ぼす影響を明らかにするとともに、肉用牛の成長・肥育に深く関わっている成長ホルモン軸やインスリンなどのホルモンの分泌動態への影響を調べた。
成果の内容・特徴 ホルスタイン種去勢牛の育成期(5~8カ月齢)における濃厚飼料給与水準を飽食或いは1日当たり体重の1.5%に制限して飼育した後(各6頭、開始時平均体重183kg)、濃厚飼料飽食で18カ月齢まで肥育した。供試牛は全期間、繋ぎ飼いとし、イタリアンライグラス乾草を自由摂取させた。
  1. 育成期に濃厚飼料飽食で飼育すると育成期の増体は良くなるが、肥育期の増体が劣る傾向があり、肥育期の飼料要求率も高くなる(表1)。
  2. 成長や脂肪蓄積に関連が深いといわれているインスリン様成長因子-1の血漿中濃度は育成終了時に濃厚飼料飽食により上昇することから、栄養摂取の指標として利用できる可能性がある(図1)。なお、育成・肥育を通じて成長ホルモンやインスリンの分泌能、インスリン感受性ならびに耐糖能には育成期の濃厚飼料給与水準の影響は認められない。3.濃厚飼料飽食で育成すると、肥育終了時の枝肉中の赤肉の割合が低下し、脂肪の割合が多くなる。また、枝肉歩留が劣る傾向にあり、脂肪交雑等級も若干悪くなる(表2)。
成果の活用面・留意点
  1. ホルスタイン種去勢牛の肥育技術に活用できる。また、肉用家畜の飼料給与による産肉性制御を検討する際の参考となる。
  2. 本成果はホルスタイン種去勢牛のデータを基にしているので、産肉性等の異なる黒毛和種などの和牛の肥育に直接適用することはできない。
図表1 220830-1.gif
図表2 220830-2.gif
図表3 220830-3.gif
カテゴリ イタリアンライグラス 飼育技術 肉牛

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