サイレージ調製時の予乾牧草への糖蜜液散布による硝酸態窒素の低減化

タイトル サイレージ調製時の予乾牧草への糖蜜液散布による硝酸態窒素の低減化
担当機関 九州農業試験場
研究期間 1998~1998
研究担当者 原慎一郎
柴伸弥
松崎正敏
発行年度 1998
要約 牧草刈取り後の予乾中硝酸態窒素の除去に及ぼす硝酸塩資化性酵母接種と糖蜜液散布の効果を比較した結果、両処理の除去率はほぼ同等であり、併用しても相乗効果は無い。硝酸態窒素除去処理した材料を調製したサイレージで不良発酵の発生は認められず、予乾中の糖蜜液散布で埋蔵材料の硝酸態窒素の低減化は可能である。九州農業試験場・畜産部・上席研究官
背景・ねらい 西南暖地には堆厩肥が永年施用され、土壌中に窒素や塩類が高濃度に集積した飼料畑が多い。この様な圃場で栽培される牧草や飼料作物中に硝酸態窒素(NO-N)が蓄積し、家畜に硝酸塩中毒を発生する場合があり、対策が求められている。サイレージ調製の際、予乾の工程で硝酸塩資化能を持つ微生物を増殖させてNO-Nを菌体成分に変換・除去し、硝酸塩中毒の発生の危険性を低減させるサイレージ調製の条件を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 3日間の予乾処理の過程でNO-N資化性酵母Pichia anomalaを接種した3区,糖蜜液を散布した2区では材料中のNO-N含量が、それぞれ平均25、22%低下し、酵母接種と糖蜜液散布の除去に及ぼす効果は、ほぼ同等である(表1)。
  2. 酵母接種と糖蜜液散布を併用した4区では、23%の含量低下であり、相乗的効果は認められない。また、無処理の1区では12%の含量低下にとどまる。
  3. 除去処理によって材料のpHは5.79~6.28に上昇し、水分約45~50%となる。この処理物を用いて調製したサイレージの構成有機酸に酪酸等は検出されず、NO-N除去処理が埋蔵中の不良発酵を誘発する現象は認められない(表2)。
成果の活用面・留意点
  1. 本法は、NO-N含量の高い材料をサイレージ調製する際、硝酸塩中毒回避のための緊急避難策としてのNO-N含量低減化法として利用できる。
  2. 除去処理には散布後3日間を必要とし、通常のロールベールサイレージ調製作業に比較して作業日数が1から1~2日延長する。本法を使用した場合でも高濃度にNO-Nを蓄積していると考えられる材料では、サイロ開封時にNO-Nの残存量を調査し、適切な給与を行う必要がある。
図表1 220836-1.gif
図表2 220836-2.gif
カテゴリ 飼料作物

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