シソ斑点病の種子伝染と乾熱消毒法

タイトル シソ斑点病の種子伝染と乾熱消毒法
担当機関 大分県農業技術センター
研究期間 1998~1998
研究担当者 吉松英明
挾間渉
発行年度 1998
要約 シソ斑点病菌は、病原菌の種子表面付着または内部寄生により高率に種子伝染する。種子伝染の主体は種子表面に付着した分生子である。保菌種子に対しては、摂氏70度、48時間の乾熱処理が有効である。大分県農業技術センター・植物防疫部
背景・ねらい 大規模な企業的経営が行われているシソ(おおば)の栽培において、1990年代以降増加し始めた斑点病は、商品である葉に発生するため直接的に品質低下に結びつくこと、農薬に対する規制強化から農薬登録の将来展望が開けないことなどから重要な問題となっている。本病の生産地からは防除法確立の要望が強い。そこで、第一次伝染としての種子伝染の可能性と非農薬的種子消毒法について検討した。
成果の内容・特徴
  1. JA大分市おおば部会の生産者が摂氏8度下で保存してきた1991,1994,1996,1997産の各シソ種子1g(約1,250粒)当たりには、最少18個~最多1,260個のシソ斑点病菌Corynesporacassiicolaの分生子が付着しており、発芽能力を保持する活性胞子は、採種後経過年数1年以内の1997年産種子からのみ検出された(図1,図2)。また、種子内感染によっても種子伝染が可能である。
  2. 保菌種子を播種した場合、外種皮殻上に生存する分生子が発芽して子葉または胚軸に感染することにより、種子伝染が起こる。
  3. シソ種子の発芽率は経年的低下が激しい(図3)ので、採種後1~2年以内に使用する必要があるが、このような種子は活性胞子の割合が高い。
  4. 保菌種子を摂氏45度,24時間の予備乾燥後に摂氏70度,48時間乾熱処理することにより、種子からの伝染を完全に断つことが可能である(図4)。
成果の活用面・留意点
  1. 空気伝染性である本病の特性から考えて、本種子消毒法は残さ処理と併用することにより実効があがると考えられる。
  2. 本法では種子の発芽率の低下と発芽遅延が懸念される。しかし、シソ生産においては品種選抜、採種、種子の管理を生産者が独自に組織的に行っていることを考慮すれば実用上の問題はない。
  3. 乾熱処理後の種子は、未処理種子に比べて発芽率の経時低下が著しいので、乾熱処理後1か月以内に使用することが望ましい。
図表1 220956-1.gif
図表2 220956-2.gif
図表3 220956-3.gif
図表4 220956-4.gif
カテゴリ 病害虫 乾燥 経営管理 しそ 種子消毒 農薬 播種 品種 防除

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