トウモロコシ南方さび病の発生実態と流行要因

タイトル トウモロコシ南方さび病の発生実態と流行要因
担当機関 九州農業試験場
研究期間 1998~1998
研究担当者 西和文
川瀬章夫
平八重一之
並木史郎
発行年度 1998
要約 トウモロコシ南方さび病は西日本地域に広く発生し、その発生程度は初発時期の早晩、夏期の気温と降雨、秋期の気温、栽培品種の抵抗性などとの関わりが深い。第一次伝染源は海外から飛来する夏胞子と考えられる。九州農業試験場・地域基盤研究部・病害生態制御研究室
背景・ねらい Puccinia polysoraによるトウモロコシの南方さび病は、九州地域を中心に晩期栽培のトウモロコシに多発しており、飼料生産上大きな問題となっている。本病の発生生態はほとんどが不明であるため、発生実態、第一次伝染源の由来、流行要因などについて解明し、防除対策のための資料とする。
成果の内容・特徴
  1. 南方さび病は、九州および四国地域で普遍的に発生しているほか、中国地域、近畿地域にも発生している(図1)。
  2. 発生は年次による変動が大きい。熊本県では、9月の発生圃場率が90%以上となる年が多いが、10%に満たない年もある。発生は、初発の早晩、夏期の気象条件(摂氏32度以上の高温は発病を抑制し、降雨は促進する)、秋期の気温低下、トウモロコシ品種の抵抗性などとの関連が深い。
  3. 本病菌は摂氏15~32度で感染可能で、感染には葉面に水分が付着していることが不可欠である。摂氏12度以下では発芽力が急速に失われ死滅するので、わが国のほとんどの地域では、本病菌の越冬は困難であると考えられる。
  4. 初発は6月中~下旬以降で、梅雨前には発生しない(図2)。初発時期はウンカ類の大量飛来時期との関連が深い。すなわち、飛来第1波が観測された約2週間後に、最初の夏胞子堆が観察されるようになる(表1)。わが国での越冬が困難であることを考慮すると、第一次伝染源は海外から飛来する夏胞子であり、ウンカ類と同時期に飛来している可能性が高いことが示唆される。
  5. 病勢進展は速く、初発後ほぼ1カ月で圃場全体に広がる。しかし猛暑・干ばつ年には病勢の進展が停滞することもある。本病の発生開始後に新しく播種された圃場では、播種約1カ月後から病勢が急進展する(図2)。
  6. 秋期の気温低下とともに病勢進展は緩慢になり、降霜前に停止する。
  7. 夏胞子堆形成株率やその増加程度に大きな品種間差は認められないが、葉上の夏胞子堆の大きさと数に顕著な差違が認められる。
成果の活用面・留意点
  1. 抵抗性品種の育成や利用促進に活用できる。
図表1 220984-1.gif
図表2 220984-2.gif
図表3 220984-3.gif
カテゴリ 病害虫 抵抗性 抵抗性品種 とうもろこし 播種 品種 防除

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