乾燥大麦根に含まれる酵素のシュウ酸分解特性

タイトル 乾燥大麦根に含まれる酵素のシュウ酸分解特性
担当機関 福岡県農業総合試験場
研究期間 1998~1999
研究担当者 山下純隆
久保田朗
深堀奈保子
発行年度 1998
要約 液状食品中のシュウ酸は、乾燥した大麦根に含まれるシュウ酸オキシダーゼを好気的条件下で作用させることにより分解させることができる。乾燥大麦根1g当たりのシュウ酸分解能力は、380mgのシュウ酸を含んだpH3.5の1000mlの緩衝液中では温度摂氏37度で1時間に約160mgのシュウ酸を分解する。
背景・ねらい シュウ酸は、一部食品の中に含まれ、体内に摂取されると種々の臓器において不溶性のシュウ酸カルシウムになってカルシウムの吸収を阻害するとともに、腎臓結石の原因とも言われている。また、シュウ酸は、食品添加物として使用が認められているものの、植物性自然毒に分類され、最終食品完成前に中和または除去することが義務づけられている。そこで、シュウ酸を含有する食品の低シュウ酸化を図るために、大麦の根に含まれる酵素・シュウ酸オキシダーゼのシュウ酸分解特性を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 乾燥した大麦根の酵素活性は、温度摂氏55度前後、pH3.5前後で最も高い。また、酵素活性の安定性は、温度では摂氏60度まで、pHでは3.0から7.0の間で高い(図1及び図2)。
  2. 酵素のシュウ酸分解能力は、1gの乾燥大麦根で、1000mlの緩衝液に含まれる380mgのシュウ酸を約3時間で分解する(図3)。
  3. 乾燥大麦根の酵素活性は、繰り返し使用すると徐々に低下し、3~4回目では1回目の約半分に活性が低下する(図3)。
  4. 緩衝液に比べて、市販のウーロン茶中でのシュウ酸分解速度は遅く、約3時間後には反応が停止するが、シュウ酸濃度は約1/4程度まで減少する(図4)。
成果の活用面・留意点
  1. 大麦の根は、摂氏80度熱水中で3分間保温して夾雑酵素を失活させた後、乾燥させる。
  2. 乾燥大麦根に含まれる酵素を利用したシュウ酸除去は、イオン交換樹脂等を使用した場合とは異なり、他の有機酸含量に影響を与えることなくシュウ酸を分解除去できるので、「本物」嗜好に合致した食品が開発できる。
図表1 221046-1.gif
図表2 221046-2.gif
図表3 221046-3.gif
図表4 221046-4.gif
カテゴリ 大麦 乾燥

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