タイトル |
黒大豆のラジカル消去能 |
担当機関 |
九州農業試験場 |
研究期間 |
1998~1998 |
研究担当者 |
古田收
高畑康浩
須田郁夫
西場洋一
|
発行年度 |
1998 |
要約 |
アントシアニンを含み、種皮色が黒の大豆品種・系統のラジカル消去能は、種皮色が赤褐、緑、黄色の大豆品種・系統よりも強い。大豆煮汁中のアントシアニンはラジカルスカベンジャーとして働く。九州農業試験場・作物開発部・流通利用研究室
|
背景・ねらい |
水田転作用作物としての高付加価値作物の導入を図る目的で、九州農業試験場では、種皮色の異なる有色大豆を育成している。この中から、機能性に富む新規食品加工用素材としての大豆を選定するために、有色大豆のラジカル消去能の評価を試みる。
|
成果の内容・特徴 |
- 種皮80%エタノール抽出液のリノール酸自動酸化抑制能は、種皮色黒の大豆が最も強い(図1A)。一方、子葉部80%エタノール抽出液の自動酸化抑制能は、種皮色の違いと関係なくほぼ同程度である(図1B)。
- 大豆煮汁のDPPH(1,1-ジフェニール-2-ピクリルヒドラジル)ラジカル消去能は、種皮色が黒の大豆から得られたものが最も強い(図1C)。煮豆自体のDPPHラジカル消去能も種皮色が黒のものが強い(図1D)。
- 種皮色が黒の大豆から得られた大豆煮汁には、アントシアニンが多く含まれている(表1)。
- 種皮色が黒の大豆煮汁は、活性酸素の一つであるスーパーオキサイドラジカルを消去し、その消去能は、他の種皮色の大豆煮汁よりも強い(図2)。
- ラット肝臓ホモジネイトにBuOOH(tert-ブチルヒドロペルオキシド)を加えると、ラジカルが発生し、化学発光する。この生体内に近い系においても、種皮色が黒の大豆煮汁は、化学発光を強く抑制する(図3A)。この際、大豆煮汁に含まれるアントシアニンは、ラジカルスカベンジャー(捕捉剤)として働く(図3B)。
|
成果の活用面・留意点 |
- 種皮色が黒の大豆品種・系統は、アントシアニンを含み、ラジカル消去能が強いので、機能性に富む新食品開発用素材として期待できる。
|
図表1 |
|
図表2 |
|
図表3 |
|
図表4 |
|
カテゴリ |
加工
機能性
くり
高付加価値
水田
大豆
品種
|