血清飢餓培養を行わないウシ体細胞クローン胚およびクローン子牛の生産法

タイトル 血清飢餓培養を行わないウシ体細胞クローン胚およびクローン子牛の生産法
担当機関 大分県畜産試験場
研究期間 1999~2002
研究担当者
発行年度 1999
要約 牛の体細胞クローン胚を生産する場合、ドナー細胞として用いる体細胞は0.5%血清添加培養液で飢餓培養することなく、10%血清添加培養液で通常培養した細胞をドナー細胞として使用できる。この方法によって作られた体細胞クローン胚を受胚牛に移植すれば、体細胞クローン子牛が生産できる。大分県畜産試験場 肉用牛生産技術部
背景・ねらい 体細胞クローン羊「ドリー」の誕生で、哺乳動物においても分化した細胞(乳腺細胞)をドナー核として核移植が可能であることが明らかにされている。この乳腺細胞は0.5%の血清を加えた培養液での低栄養下で培養し、細胞の周期を休止期(G0期)に誘導して用いられている。この方法では細胞周期を休止期にするために3~5日間の培養期間を必要とし、体細胞核移植を実施するには予め飢餓培養した細胞を準備しておく必要がある。このため受核卵子は体細胞の飢餓培養終了日時に合わせて準備をしなければならない。そこで、簡易かつ何時でも核移植が実施できる細胞培養方法が必要と考え、飢餓培養の有無と体細胞クローン胚の作出効率並びにこれらクローン胚の受胎性を調べた。
成果の内容・特徴
  1. 牛の体細胞核移植によりクローン胚を生産する場合、体細胞(筋肉組織由来繊維芽細胞)を5日間の0.5%の血清(血清飢餓培養)あるいは10%血清添加培養液(通常培養)で培養している細胞をドナー細胞として核移植を実施しても、双方に胚盤胞の発生率に差が見られない。従って、体細胞クローン胚生産では血清飢餓培養をすることなくドナー細胞として使うことができる。(表1)
  2. 体細胞を血清飢餓培養の有無で核移植により生産した体細胞クローン胚を受胚牛に移植した場合、双方ともにクローン胚は受胎可能である。しかし、共に高い流産発生率が観察される。(表2)
  3. 10%グリセロールと0.3Mシュークロース液によるストロー内1段階希釈法により凍結した体細胞クローン胚は、受胎し体細胞クローン子牛を生産できる。(表2、図1)
成果の活用面・留意点
  1. 高能力老齢種雄牛の再生また枝肉結果が優れていた牛によるクローン種雄牛の造成、そして肥育素牛や泌乳・繁殖能力の高い雌牛のクローン牛生産が可能である。また、遺伝的能力に個体差が無いことから、各種の試験の供試牛として利用できる。
  2. 体細胞クローン胚を移植する場合早期の流産が多発することから、ウイルス性による流産など、他の要因による流産の防止策を講じておく必要がある。
  3. 体細胞核移植に用いる体細胞の大きさは様々であるが、小さな細胞をドナー細胞に用いることによりクローン胚生産に有効なG1、G0期の細胞が得られ効果的である。
図表1 221138-1.jpg
図表2 221138-2.jpg
図表3 221138-3.jpg
カテゴリ 肉牛 繁殖性改善

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