タイトル |
泡盛蒸留粕のサトウキビ肥料としての利用 |
担当機関 |
沖縄県農業試験場 |
研究期間 |
1998~1998 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1999 |
要約 |
泡盛蒸留粕は無処理のまま、サトウキビ肥料として利用できる。施用量は10アール当たり夏植えで10トン、春植えで7トン、株出しで8トンが適当である。植付け前に2トンを施用し、植付け後は毎月1.1.5トンを6・7月まで株元へ条施する。
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背景・ねらい |
ここ数年、泡盛の生産増加に伴い蒸留粕が年間3万トン以上も産出され、各酒造会社はその処理・処分に苦慮している。2001年に発効されるロンドンダンピング条約の海洋投棄禁止対象廃棄物リストからはとりあえず除外され、且つ現段階では海洋投棄という処理手段には追い込まれていない泡盛蒸留粕であるが、酒造工場の敷地内埋立/貯留や畜産農家への有償/無償の引き渡しではその処理に自ずと限界がある。そこで、泡盛蒸留粕の窒素含量に着目し、耐酸性で大量利用が可能なサトウキビへの特殊肥料として活用することで、肥料費の節減を図り、サトウキビ・泡盛両産業の発展に寄与する。
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成果の内容・特徴 |
- 収量面からのサトウキビ畑への還元適量は10アール当たり7~12トンと幅があるが(図1)、各作型(春植・株出・夏植)の生育期間と次の2. に記す環境保全面を考慮し、10アール当たりそれぞれ7、8、10トンが適当である。施用法は、植付け前全量施用では環境保全および収量面で分施に劣るので植付け前施用+植付け後施用とする。立耗状態での株元施用は問題ない。
- 泡盛蒸留粕多量施用(32t/10a)による環境負荷は、速効性化学肥料(慣行施肥量)の約3倍に相当するので、化学肥料並に抑えるには年間通して10t/10a以上の施用は避ける(図2)。この数値は沖縄県で最も透水性の良い土壌における裸地条件下で得たものなので、サトウキビ植付対象の本県全土壌型で適応可能である。
- 泡盛蒸留粕の連用により、化学肥料連用に比べて土壌の固相率が約7%減少、全窒素含量が約20%増加し、土壌物理性の改善・窒素の富化が期待できる(表1)。
- 作型・収量・品質・環境保全を考慮した施肥例を表2に示す。
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成果の活用面・留意点 |
- 泡盛蒸留粕の連用により、土壌の酸性化・交換性塩基含量の低下が生じる場合があるので、新植(更新)時には土壌診断を受け、土壌改良資材施用による酸度矯正や苦土補給、加里・燐酸肥料の施用の有無を検討する。
- 植付け後施用の頻度・回数・一回当たりの施用量については、泡盛蒸留粕の供給体制に応じて2週間隔か1ヶ月間隔かを決める。
- 植付け前の泡盛蒸留粕施用後はよく土壌と混和し、植付け後施用の場合はできるだけ覆土する。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
肥料
さとうきび
施肥
土壌改良
土壌診断
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