気化潜熱を利用したイチゴ高設ベンチの培地冷却法

タイトル 気化潜熱を利用したイチゴ高設ベンチの培地冷却法
担当機関 野菜・茶業試験場久留米支場
研究期間 2000~2001
研究担当者 荒木陽一
高市益行
中島規子
田中和夫(現中国農試総合研究部)
発行年度 2000
要約 イチゴの高設ベンチにおいて、水の気化潜熱を利用した培地冷却法を用いると、晴天の最高気温時に培地温度が摂氏5度~摂氏10度低下する。高温時に定植したイチゴの生育が促進され、頂花房の分化・出蕾時期が早くなる。野菜・茶業試験場久留米支場・栽培生理研究室(九州沖縄農業研究センター野菜花き研究部栽培生理研究室)
背景・ねらい イチゴの高設栽培では、育苗労力の軽減と設備の有効利用の観点から、早期に定植する栽培方法が試みられている。しかし、夏季には高温による生育不良と、頂花房の花芽分化が遅れる問題がある。これを解決する手段の1つとして、培地冷却が考えられる。培地を冷却する方法として、一般に、培地に埋設したパイプに冷水を流す方法がとられるが、多量の冷水が必要で配管の終端では冷却効果が小さくなる欠点がある。そこで、簡易で冷却能力の高い培地冷却法を開発し、イチゴの生育や花芽分化に対する効果を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 培地をシートで包むタイプの高設ベンチにおいて、シートの外側に厚さ0.3mm程度の吸水性不織布を密着させる。この不織布に水を供給して、常時濡れている状態にして、水分が蒸発するときの気化潜熱により、培地を冷却する(図1,気化冷却区の図を参照)。
  2. パイプに冷水を流す冷却法(パイプ冷却区)では低温域がパイプ周辺に限られるのに対し、気化潜熱を利用した冷却法(気化冷却区)では培地の広い部分を低温にすることができる(図1)。
  3. 気化冷却法による冷却能力は、蒸発した水量から換算すると、日中の最大時に300W/m2程度である。夏季の晴天日に培地内底部温度を摂氏5度~摂氏10度程度低下できる(図2)。夜間にも培地温度は約摂氏1度低下する。
  4. 気化潜熱を利用して高設ベンチの培地を冷却すると、盛夏期に定植した後の生育が促進され(図3)、ベンチ上での頂花房の花芽分化や出蕾が早まる(表1,図4)。
成果の活用面・留意点
  1. 冷却効果は晴天日で高温・乾燥・通風が良好な条件で大きくなり、梅雨明けから10月一杯くらいまでの利用が可能である。断熱性の高い発泡スチロール製の容器では冷却効果はほとんどない。
  2. 不織布が厚くて吸水能力が高すぎる資材は、水滴の落下が多い問題があり、逆に薄すぎるものは日中に湿潤面を維持できない。
  3. 不織布への給水と培地への灌水とは配管を別系統にする。
図表1 221536-1.jpg
図表2 221536-2.jpg
図表3 221536-3.jpg
図表4 221536-4.jpg
図表5 221536-5.jpg
カテゴリ 育苗 いちご 乾燥 栽培技術

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