タイトル |
温州ミカンにおけるマシン油乳剤を機能性展着剤(アジュバンド)として利用した各種病害に対する防除効果の安定化と薬剤散布回数の低減 |
担当機関 |
佐賀県果樹試験場 |
研究期間 |
2000~2002 |
研究担当者 |
|
発行年度 |
2000 |
要約 |
温州ミカンの展葉初期~梅雨明け前までの殺菌剤散布時にマシン油乳剤を加用すると、黒点病、そうか病、灰色かび病の防除効果が多雨条件下でも安定する。また、現行の黒点病防除では累積降雨量200~250mmの間隔でマンゼブ水和剤を散布しているが、同剤にマシン油乳剤を加用すると同300~400mmの間隔でも優れた効果が得られることから、年間の総防除回数を削減することができる。佐賀県果樹試験場・病害虫研究室
|
背景・ねらい |
温州ミカンの主要病害(黒点病、そうか病、灰色かび病)に対して多雨条件下における防除効果の安定が切望されているが、散布回数の増加では減農薬を求める今日の情勢に相反する。そこで、マシン油乳剤を機能性展着剤として有効利用し、防除効果の安定と散布回数の低減を同時に図る。
|
成果の内容・特徴 |
- マンゼブ水和剤およびイミベンコナゾール・マンゼブ水和剤を散布する際にマシン油乳剤を200~400倍で加用すると、薬剤散布から次回薬剤散布までの累積降雨量を300~400mmとした多雨条件でも、主要病害(黒点病、そうか病、灰色かび病)に対して安定した防除効果が得られる(図1)。イミノクタジンアルベシル酸塩・マンゼブ水和剤についても同様である(データ略)。
- 黒点病防除剤のマンゼブ水和剤を単用で散布する場合、散布後の累積降雨量が300mm以上に達すると防除効果が衰退するため、同200~250mmに達した時点で再散布を行うのが一般的である。しかし、マシン油乳剤を加用すると同300~400mm間隔で散布して年間の防除回数を1回減らしても単用散布と同等以上の効果が得られる(表1)。
- マシン油乳剤を加用すると重要害虫のミカンハダニを同時防除できるので、この時期の殺ダニ剤の散布が不要となる(データ略)。
- マシン油乳剤を加用すると黒点病に対する防除回数を減らすことができるため、経費節減および労働時間の短縮が可能となる(表1)。その効果は大規模農家ほど顕著で、年間に1回マンゼブ水和剤の散布を減らせれば、5haの農家では年間に約7万円、防除に要する日数を13日間減らせる。さらに、散布回数を減らすことにより環境への負荷が軽減され、環境保全につながる。
|
成果の活用面・留意点 |
- マシン油乳剤の加用時期は展葉初期から梅雨期までであり、梅雨明け以降は果実品質(糖、酸)に悪影響を及ぼす恐れがあるので加用しない。
- マシン油乳剤の加用濃度は、ミカンハダニの要防除水準である寄生葉率30%以上の場合は200倍とし、これに満たない場合は400倍とする。
- イミベンコナゾール・マンゼブ水和剤にマシン油乳剤を加用する場合は、イミベンコナゾール・マンゼブ水和剤→マシン油乳剤の順で溶かすこと。逆の順で溶かすと沈澱を生じる場合がある。また、混用薬液を半日以上放置すると沈澱を生じる場合があるので、その日のうちに使い切ること。
- 中晩柑類では薬害(果面障害)を生じるので殺菌剤にマシン油乳剤を加用しない。
|
図表1 |
 |
図表2 |
 |
カテゴリ |
病害虫
温州みかん
害虫
機能性
農薬
防除
薬剤
|