タイトル | 乾熱処理と低温浸種の併用による水稲種子の発芽阻害 |
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担当機関 | (独)農業技術研究機構 九州沖縄農業研究センター |
研究期間 | 1997~2001 |
研究担当者 |
古畑昌巳 楠田宰 福嶌陽 |
発行年度 | 2001 |
要約 | 休眠覚醒の進行が遅いヒノヒカリ等の水稲種子では、乾熱処理と低温浸種の両処理を行うと最終発芽率が低下することなく発芽速度は速くなるが、休眠覚醒の進行が速いレイホウ等の種子では、同処理によって発芽が阻害され、最終的な発芽率が低下する。 |
キーワード | 乾熱処理、種子、水稲、直播、低温浸種、発芽、予措 |
背景・ねらい | 直播栽培における安定した出芽・苗立ちのためには、播種法や播種後の水管理が重要であるが、使用する種子自体の問題も少なくない。速やかな出芽と高い出芽率を得るためには、発芽能力に優れる種子を播種する必要がある。そこで種子予措に関する処理が水稲種子の発芽速度、発芽率に及ぼす影響を明らかにして、確実な種子予措に資する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 休眠覚醒の進行が遅いヒノヒカリ等の種子では、休眠覚醒のための乾熱処理、均一な吸水のための低温浸種の各単独処理によって、最終発芽率が低下することなく発芽速度は速くなる。また、両者を組み合わせることで、発芽速度はさらに速くなる(図1(1))。 2. 休眠覚醒の進行が速いレイホウ等では、乾熱処理、低温浸種の各単独処理によって、最終発芽率が低下することなく発芽速度は速くなる。しかし、両者を組み合わせると、発芽速度は低下し、最終発芽率も低く、明らかな発芽阻害が発生する(図1(2))。 3. この発芽阻害は、品種特性によるものではなく、同一品種であっても収穫後の年次を経る等で休眠覚醒が進んだ場合には、この発芽阻害が発生する(図2)。 4. 無処理種子の3日目における発芽率が約60%以下、4日目における発芽率が約90%以下の種子では、乾熱処理と低温浸種を組み合わせた場合の最終発芽率の低下はほとんど認められないが、休眠覚醒が進み上記以上の発芽力をもつ種子では、程度の差はあるものの同処理による発芽阻害が認めらる。(図3)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 種子予措前に予備的な発芽試験を行い、3~4日目の発芽率で低温浸種前の乾熱処理の要否を判定することが可能である。 2. 長期保管種子などの発芽力が低下しはじめた種子では、3日目の発芽率が60%以下、4日目の発芽率が90%以下となるが、最終発芽率も低く栽培用種子には適さないので、種子履歴を把握しておく必要がある。なお、この場合も上記の発芽阻害が発生する。 3. 乾熱処理は50℃・5日間の通風乾燥、低温浸種は水温10℃・7日間の浸種とした。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
カテゴリ | 乾燥 直播栽培 水稲 播種 品種 水管理 |