体細胞クローン子牛の出生直後の内分泌性状

タイトル 体細胞クローン子牛の出生直後の内分泌性状
担当機関 (独)農業技術研究機構 九州沖縄農業研究センター
研究期間 1999~2001
研究担当者 松崎正敏
柴伸弥
常石英作
発行年度 2001
要約 体細胞クローン子牛は対照子牛に比べて、出生直後に採取した血中のコルチゾールとインスリン様成長因子(IGF)-1の濃度が低く、IGF結合タンパク質(IGFBP)1とIGFBP2のレベルが高いことから、分娩招来や胎子の成長・成熟に関与する内分泌系の発達過程の進行が不適切な可能性がある。
背景・ねらい 体細胞クローン牛生産で問題となっている過大子の出生や周産期の異常性とクローン胎子の内分泌系の発達状況との関連を明らかにするために、出生前後に機能的変化を遂げる下垂体-副腎系およびインスリン様成長因子(IGF)系のホルモンとホルモン結合タンパク質の血中濃度を出生直後の体細胞クローン子牛と対照子牛とで比較した。
成果の内容・特徴 1.
黒毛和種の体細胞クローン子牛は人工授精あるいは受精卵移植による同品種の対照子牛に比べて、生時体重が重く、帝王切開による出生の頻度ならびに生後1週間以内での死亡率が高いなど、体細胞クローン牛生産で頻発している過大子や虚弱子、難産などの周産期の異常性と符合した特徴を示している(表1)。
2.
体細胞クローン子牛では出生直後の血中コルチゾール濃度が低く、分娩招来や胎子の機能的な成熟を促すとされる出生前の胎子血中コルチゾールの急上昇(コルチゾールサージ)が小さいことが伺われる(表2)。
3.
体細胞クローン子牛は血中IGF-1濃度が低いだけでなく(表2)、図1にみられるようにIGF結合タンパク質(IGFBP)1とIGFBP2の血中レベルが著しく高いことから、出生前後におけるIGF系の胎子型から成体型への移行が適切に進行していない可能性がある。
成果の活用面・留意点 1.
体細胞クローン子牛の内分泌系の発達状況を把握するための指標として活用し、新生子の哺育管理に役立てることができる。
2.
体細胞クローン子牛の中にも、生時体重や内分泌性状が対照子牛群のそれと差異のない個体がみられるので、妊娠や分娩の経過および産子の活力なども考慮して内分泌系の発達状況を評価する必要がある。
図表1 221966-1.gif
図表2 221966-2.gif
図表3 221966-3.gif
カテゴリ 受精卵移植 品種

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