タイトル | 帰化雑草「ホソバツルノゲイトウ」の発生・生育特性と除草剤の殺草効果 |
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担当機関 | (独)農業技術研究機構 九州沖縄農業研究センター |
研究期間 | 2000~2002 |
研究担当者 |
住吉正 小荒井晃 大段秀記 |
発行年度 | 2002 |
要約 | ホソバツルノゲイトウは湛水条件からは出芽できず、畑水分~湿潤の土壌表層から出芽する。畑水分条件で発生したホソバツルノゲイトウは、冠水の程度がわずかであれば湛水されても生育する。本草種に対してはグリホサートまたはベンタゾンの殺草効果が高い。 |
キーワード | 乾田直播栽培、帰化雑草、雑草防除、発生特性、ホソバツルノゲイトウ |
背景・ねらい | ヒユ科の帰化雑草のホソバツルノゲイトウは、暖地の水稲乾田直播栽培の乾田期間に発生し、一部では残草が目立ち問題雑草となっている。本草種の生態的特性や除草剤に対する感受性などについては不明な点が多く、防除法の確立が急務である。そこで、水稲乾田直播栽培における本草種の発生・生育の特性について調査するとともに、除草剤の殺草効果について検討を行う。 |
成果の内容・特徴 | 1. ホソバツルノゲイトウは湛水条件からは出芽できないが、含水比20%~60%(灰色低地土)の土壌中からは出芽可能で、通常の畑水分土壌や湿潤な土壌からの出芽に適している(表1)。 2. ホソバツルノゲイトウの種子は光発芽性を有し(データ省略)、出芽は土壌の表層に限られ、最大出芽可能深度は1cm程度である(図1、表1)。 3. 畑水分条件で発生したホソバツルノゲイトウは、入水によって枯死することはないが、冠水状態が長く継続する場合は生育が停止する(表2)。しかし、冠水の程度がわずかかまたは個体が大きな場合は葉が水面上に抽出し、以降は正常に生育する(表2)。 4. 水稲乾田直播栽培を想定した除草剤のホソバツルノゲイトウに対する殺草効果は、水稲播種前後の非選択性除草剤ではグリホサートが最も高く、11葉期までの個体を完全に枯殺できる。乾田期間の除草剤ではベンタゾンが効果的で、2葉期までは50ml/a、3葉期では70ml/aの処理で完全枯殺できる。しかし、シハロホップブチル・ベンタゾンはベンタゾン単剤よりも効果が劣る。入水後はスルホニルウレア系成分含有除草剤等で子葉期の個体は枯殺できるが、3葉期の個体は完全には枯殺できない(表3)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 水稲乾田直播栽培に発生するホソバツルノゲイトウの防除に活用する。 2. ホソバツルノゲイトウの種子は九州沖縄農業研究センター(福岡県筑後市)内に発生した個体(熊本県天草地方由来と思われる)から採集した。 3. 除草剤の利用については、使用基準を遵守する。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
カテゴリ | 病害虫 乾田直播 雑草 除草剤 水稲 播種 防除 |