タイトル | 牛末梢血リンパ球画分の熱ショックタンパク質発現誘導比と夏季泌乳能力の関係 |
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担当機関 | (独)農業技術研究機構 九州沖縄農業研究センター |
研究期間 | 1998~2002 |
研究担当者 |
田中正仁 岩間裕子 神谷充 塩谷繁 |
発行年度 | 2002 |
要約 | 春季分娩牛における末梢血リンパ球画分の熱ショックタンパク質(HSP)発現誘導比は、夏季高温環境下の泌乳量および全固形分量と高い正の相関関係がある。 |
キーワード | 家畜生理・栄養、乳牛、耐暑性、熱ショックタンパク質 |
背景・ねらい | 九州沖縄の西南暖地では、夏季の高温環境下における乳牛の生産性低下が大きな問題となっている。各乳牛個体の耐暑性について評価できる生理的指標を確定することで、耐暑性の低い個体の選別や個体別の暑熱対策が可能になると考えられている。そこで、細胞、個体の高温耐性機能に関与するHSP27の潜在的発現能力から乳牛個体の耐暑性を評価することを目的として、春季分娩後における各個体の末梢血リンパ球画分のHSP27発現誘導比と夏季高温環境下の泌乳能力の関係を調べ、泌乳牛の高温耐性機能をHSP27発現誘導比から評価する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 乳牛各個体のHSP27発現量の測定は図1に示す方法で行い、1月から3月の間に分娩した乳牛より4月に採血し、全血に対する43℃、30分処理をした高温区と38℃、30分の対照区におけるHSP27発現量の比を発現誘導比として表す。 2. 1.で求めたHSP27の発現誘導比と一か月泌乳量には正の相関関係があり、その相関係数(n=7)は、季節の進行による環境温度の上昇にともなって高くなり、日最高気温の一月平均が最も高い8月にはHSP27と一月泌乳量の間の相関係数が最も高くなる(図2)。 3. 乳成分においてはその分泌量とHSP27の発現誘導比との間に有意な相関関係があり、とくに、暑熱環境下(8月)の全固形分分泌量とHSP27の発現誘導比の間において正の相関関係がある(図3)。 4. 以上から、春季分娩牛について春季に測定したHSP27発現誘導比は夏季高温環境下の泌乳成績推定に有効である。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 乳牛の泌乳能力に関する耐暑性評価の生理指標の一つとして活用できる。 2. 泌乳能力については環境温度以外の飼養環境の影響も大きく、総合的な評価が必要である。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
カテゴリ | 高温耐性 耐暑性 乳牛 |