タイトル | 中南部九州では耕地近隣の林野にもネコブセンチュウ類が広く分布する |
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担当機関 | (独)農業技術研究機構 九州沖縄農業研究センター |
研究期間 | 2002~2005 |
研究担当者 |
佐野善一 岩堀英晶 立石 靖 |
発行年度 | 2002 |
要約 | 熊本県、宮崎県および鹿児島県の耕地近隣の林野にはネコブセンチュウ類が広く分布し、しかも北方系のキタネコブセンチュウが優先的に分布している(検出頻度81.5%)。耕地の優占種であるサツマイモネコブセンチュウの検出頻度は比較的低い(37%)。 |
背景・ねらい | 西南暖地に位置する九州地域では温暖な気候を好むサツマイモネコブセンチュウが優先的に分布し、北方系の線虫であるキタネコブセンチュウは少ないと考えられてきた。事実、この地域の圃場には、サツマイモネコブセンチュウが優占種として広く分布し、畑作物や野菜類の重要な生産阻害要因となっている。しかし、林野等、圃場以外の立地でのネコブセンチュウ類の分布についてはほとんど調査されていない。圃場造成、客土、育苗床土準備等にともなう線虫の伝搬や感染の防止、分布特性等線虫の生態解明に資するため、圃場近隣林野に自生する野草類に寄生するネコブセンチュウの種類を調査し、分布の特徴を明らかにする。 |
成果の内容・特徴 | 1. 熊本県、宮崎県および鹿児島県の耕地近隣の林野にはネコブセンチュウ類が広く分布し、しかも、いずれの地域においても北方系のキタネコブセンチュウが高頻度で分布する(全調査地平均81.5%)。耕地に優先的に分布するサツマイモネコブセンチュウの検出頻度は比較的低い(37%)。これらの2種は同一地点に同時に併発することも希ではない。アレナリアネコブセンチュウも、検出は鹿児島県有明町の1地点であるが、林野に自生する(表1)。 2. ネコブセンチュウの寄生が多い野草類は、サツマイモネコブセンチュウではクワ科のクワクサおよびヒユ科のイノコズチ、キタネコブセンチュウではスミレ科のスミレ類、セリ科のミツバクサおよびウマノミツバ、ナス科のイヌホウズキ、キク科のシロヨメナ、ヤクシソウおよびツワブキである(表2)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. ネコブセンチュウ類の分布特性等、線虫の基礎的生態を解明するための資料としても利用できる。また、ネコブセンチュウの移動・伝搬防止対策を開発するための参考になる。 2. 林野の土壌にも有害線虫が生息することが実証されたことから、育苗床土等に利用する場合は、あらかじめ薬剤処理等の線虫防除対策が必要である。 |
図表1 | |
図表2 | |
カテゴリ | 病害虫 育苗 馬 きく しそ すみれ せり なす 防除 みつば 薬剤 |