佐賀県のトルコギキョウにおけるネギアザミウマのIris yellow spot virus(IYSV)保毒虫率の推移とえそ輪紋病の発生

• 担当機関: 佐賀上場営農セ
• 研究期間: 2003～2007
• 発行年度: 2005
• 要約: IYSVを保毒したネギアザミウマは、トルコギキョウ施設周辺において4月下旬から6月中旬にみられ、保毒虫率は5月下旬から6月上旬に高くなる。トルコギキョウえそ輪紋病の発生は、6月中旬から7月上旬に多くなり、保毒虫の推移と高い相関がみられる。
• キーワード: ネギアザミウマ、Iris yellow spot virus(IYSV)、トルコギキョウ、えそ輪紋病
• 背景・ねらい: IYSVを病原とするトルコギキョウえそ輪紋病は、ウイルスを獲得したネギアザミウマによって伝搬され、トルコギキョウの葉などに病徴を示すため、商品性を著しく低下させるウイルス病である。本病の発生を抑制するには、保毒虫の密度低減を目的とした防除体系の構築が必要である。そこで、同一圃場で3か年、トルコギキョウ施設周辺に設置した粘着トラップで捕獲したネギアザミウマのIYSV保毒状況とえそ輪紋病の発生を調査し、トルコギキョウへの保毒虫の飛来時期を明らかにする。

成果の内容・特徴

1. ネギアザミウマは、トルコギキョウ施設周辺において3月下旬から捕獲され、誘殺ピークが6月上旬にある（図1）。
   
2. IYSVを保毒したネギアザミウマは4月下旬から6月中旬に認められ、保毒虫率は5月下旬か6月上旬に高くなる（図1）。
   
3. トルコギキョウえそ輪紋病の発生推移は保毒虫の推移と同様のパターンを示し、保毒虫の捕獲から約2～3週間後の6月中旬から7月上旬にかけて発病がピークとなる（図1）。その発生は主に6月と7月で、秋期から春期にかけてみられていない。
   

成果の活用面・留意点

1. 保毒虫の飛来時期に合わせてネギアザミウマの防除を行うことで、えそ輪紋病の発生を予防することが可能となると考えられる。
   
2. ネギアザミウマの飛来時期及び飛来数は施設周辺の植生や環境により異なるため、粘着トラップによりモニタリングを行う必要がある。
   
3. 保毒虫検定は、粘着トラップを使用したTSWV保毒アザミウマの簡易モニタリング法（平成15年度九州沖縄農業研究成果情報）に準じて行った。
   

• カテゴリ: 病害虫 トルコギキョウ ねぎ 防除 モニタリング