放牧や粗飼料多給で生産された牛肉中の遊離アミノ酸や脂肪酸組成の特徴

タイトル 放牧や粗飼料多給で生産された牛肉中の遊離アミノ酸や脂肪酸組成の特徴
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 九州沖縄農業研究センター
研究期間 2006~2007
研究担当者
発行年度 2007
要約 放牧牛肉はカルノシン含量は多いものの、グルタミン酸、タウリン、オレイン酸は少ない。しかし、トウモロコシサイレージ主体で仕上げ肥育すると、カルノシン含量の高さは維持したまま、グルタミン酸などは多くなり、他の飼養方法と差がなくなる。
キーワード 牛肉、放牧、粗飼料、遊離アミノ酸、脂肪酸
背景・ねらい 放牧牛肉の特徴として抗酸化成分カルノシンや呈味成分である遊離アミノ酸含量の高さが報告され、放牧飼養による牛肉生産に対する消費者の関心が高まっている。一方、慣行肥育牛肉との比較において、放牧牛肉はタウリン、グルタミン酸の含量、オレイン酸割合の低いことが指摘されている。しかし、これらの欠点は仕上げ肥育によって改善される可能性がある。そこで、放牧終了後にトウモロコシサイレージ主体の仕上げ肥育を行った場合の牛肉について、他の飼養条件で生産されたものと比較する。
成果の内容・特徴 飼養条件は、1>慣行牛(28.0ヵ月齢)、2>オーツヘイによる粗飼料多給牛(27.4ヵ月齢)、3>放牧後にトウモロコシサイレージ主体の仕上げ肥育を行った牛(32.5ヵ月齢)、4>濃厚飼料無給与の周年放牧のみで飼養した牛(27.1ヵ月齢)で、これら4群の黒毛和種去勢牛のロース芯(1>~4>の水分含量は61.8、64.6、63.1、69.8%)が調査対象である。
  1. 放牧のみ牛ではほとんどの遊離アミノ酸、呈味を有するアミノ酸および抗酸化成分カルノシン含量で高い値を示すものの、グルタミン酸とタウリン含量は低い(表1)。
  2. 放牧後の仕上げ肥育によってグルタミン酸とタウリン含量は高くなり、呈味を有するアミノ酸を含め、他の牛と差がなくなる。長所であるカルノシン含量の高い値は維持される(表1)。
  3. 放牧のみ牛ではオレイン酸割合が低いが、放牧後の仕上げ肥育によって増加し、他の牛と差がなくなる(表2)。
  4. 穀物中に多いリノール酸は、濃厚飼料依存度の高い牛で高い値を示すが、αリノレン酸は牧草摂取量の多い牛で高くなる。その結果、食品栄養学的に5以下になることが推奨されるn-6/n-3比率は、放牧のみや放牧肥育牛で低い値を示すこととなる(表2)。
  5. 反芻胃内微生物の働きで産生される側鎖脂肪酸、トランス脂肪酸、共役リノール酸などは、飼養条件による差異が認められ(表2)、牧草などの繊維質飼料給与の指標となるものと考えられる。
成果の活用面・留意点
  1. 肉用牛の飼養条件を選択する際に、生産される牛肉の遊離アミノ酸含量や脂肪酸組成に及ぼす影響を考慮することが可能となる。

図表1 223421-1.jpg
カテゴリ トウモロコシサイレージ 肉牛

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