タイトル |
シュロガヤツリグサ等の浄化植物および微生物による廃液浄化システム |
担当機関 |
福岡県農業総合試験場土壌 |
研究期間 |
2005~2006 |
研究担当者 |
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発行年度 |
2007 |
要約 |
栽培規模25aの青ネギ水耕栽培施設から平均濃度88mg/Lの硝酸性窒素が年間177t排出される廃液は、春期から秋期には浄化植物で、秋期から春期にかけてはシュロガヤツリグサ等の浄化植物と微生物により年間を通して浄化できる。
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キーワード |
浄化植物、石灰硫黄造粒剤、硫黄酸化細菌群、硝酸性窒素
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背景・ねらい |
水質保全の観点から排水基準は強化されており、農業サイドにおいても河川等の環境保全に対して最善の対策を取る必要がある。福岡県では、「福岡県減農薬・減化学肥料栽培農産物認証制度」が制定され、この制度に申請しようする養液栽培農家は、定められた排液処理基準を遵守する必要がある。しかし、養液栽培施設から流出される余剰の培養液は、処理が不完全なまま廃液として生産系外へ排出されることがある。 そこで、植物や微生物による廃液浄化技術の双方を活用して、年間を通して県基準を満たす養液栽培の廃液浄化システムを実証する。
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成果の内容・特徴 |
- 25aの経営規模の青ネギ水耕栽培施設から排出される廃液量は年間177tである。廃液中の硝酸性窒素濃度は平均88mg/Lである(表1)。
- 現地水耕栽培施設から排出される廃液を年間を通して県基準以下に維持できる新しい浄化システムである(図1)。
- 春期から秋期にかけて、浄化植物(シュロガヤツリグサ+パピルス)により廃液中の硝酸性窒素濃度は低下し、水耕ネギの培養液交換時には、浄化槽の硝酸性窒素濃度はほぼ0mg/Lになる(図2)。
- 秋期から春期では、植物浄化槽および脱窒資材(石灰硫黄造粒剤に硫黄酸化細菌群を付着)を充填した装置で間欠循環運転することにより、処理廃液中の硝酸性窒素濃度は2mg/L以下で経過する(図2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 「福岡県減農薬・減化学肥料栽培農産物認証制度」の排液処理基準(アンモニア性窒素に0.4を乗じたもの、亜硝酸性窒素と硝酸性窒素合計量100mg/L以下である)を満たしているため、同制度による申請が可能である。
- 浄化植物は、浄化槽の被覆率95%を超えたら株分け等栽培管理を行う。
- 脱窒槽は、資材崩壊による脱窒能力低下を防止するため5分間稼働-5分間停止の間欠循環の運転とする。春期に水を抜き充填資材を風乾して保存する。脱窒槽の再起動時は、減少量分の資材を補充する。菌の活性化までは約7日程度を要す。
- 脱窒槽のみの設置経費(脱窒資材費を除く)は、約13万円である。また、ランニングコスト(脱窒資材費および光熱費)は約20,000円/年である。
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図表1 |
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カテゴリ |
肥料
病害虫
経営管理
コスト
栽培技術
水耕栽培
ねぎ
農薬
養液栽培
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