ダイズプロテオームデータベースは湿害関連タンパク質の検出に有用である

タイトル ダイズプロテオームデータベースは湿害関連タンパク質の検出に有用である
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 作物研究所
研究期間 2006~2008
研究担当者 坂田克己(三菱スペースソフト)
山本亮
小松節子
大柳一(三菱スペースソフト)
中山則和
中村卓司
島村聡
南條洋平
平賀勧
発行年度 2008
要約  ダイズの生育時期・器官特異的・細胞内小器官タンパク質を解析し、二次元電気泳動を基盤にしたダイズプロテオームデータベースを構築し公開する。湿害時に増加・減少するタンパク質情報も収録されている。
キーワード ダイズ、プロテオーム、データベース、湿害
背景・ねらい ダイズは、消費量が穀類に次いで4番目であり、油糧用・バイオ燃料用としても重要な作物である。本研究では、機能解明研究に広く利用可能なダイズプロテオームデータベースを構築・公開し、ダイズ遺伝子発現の包括的な研究の促進に資する。また、わが国の水田転換畑におけるダイズの栽培では、湿害が発生し生産が不安定となるので、耐湿性ダイズ品種の開発が重要な課題である。そこで、湿害に関連するタンパク質群の情報を提供し、湿害対策研究の促進と国産ダイズの安定的な生産のための基盤情報を提供する。
成果の内容・特徴
  1. ダイズのさまざまな生育時期の18種類の各種器官(種子、根、胚軸、葉等)あるいは3種類の精製細胞内小器官(細胞膜、細胞壁、葉緑体)(図1)から抽出したタンパク質を二次元電気泳動し、それぞれの二次元電気泳動像に基づいて各タンパク質スポットを精製し、気相プロテインシーケンサーあるいは質量分析計でアミノ酸配列を決定している。
  2. 二次元電気泳動上で分離した7,292個のタンパク質スポットのうち、既に500種類について分子量・等電点・発現量等の情報、さらに相同検索結果情報等をカタログ化して、ダイズプロテオームデータベースに収録し(図2)、各々のタンパク質情報に対する検索機能も付加している。
  3. 本データベース上でダイズ出芽期における湿害に関連するタンパク質群を検索すると、アスコルビン酸ペルオキシダーゼ、アルコール脱水素酵素、新規タンパク質群等が検出される等、機能タンパク質の包括的な解析に有用である(図3)。
成果の活用面・留意点
  1. 湿害時に変動するタンパク質群を収録することにより、耐湿性タンパク質の検索が可能となる。
  2. ダイズプロテオームデータベースは、「http://proteome.dc.affrc.go.jp/Soybean/」のサイトで公開し、定期的に更新している(図4)。
  3. ダイズプロテオームデータベースに収録されているデータは、ダイズ品種エンレイを供試した時の結果である。
  4. ダイズプロテオームデータベースは、ダイズの湿害発生機構に関与するタンパク質の検出のみならず、塩ストレスやオゾンストレス等に関与するタンパク質等、多くの重要形質に関与するタンパク質の探索にも大いに役立つツールになる。

図表1 226678-1.jpg
図表2 226678-2.jpg
図表3 226678-3.jpg
図表4 226678-4.jpg
カテゴリ 湿害 水田 耐湿性 大豆 データベース 品種

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