石灰岩風化土壌のサトウキビ畑における窒素溶脱特性

タイトル 石灰岩風化土壌のサトウキビ畑における窒素溶脱特性
担当機関 鹿児島県農業開発総合センター徳之島支場
研究期間 2005~2006
研究担当者
発行年度 2007
要約 石灰岩風化土壌(典型普通暗赤色土)のサトウキビ畑から溶脱する窒素の80~90%は、梅雨期間に集中する。年間窒素溶脱量は、株出し栽培時が春植え栽培時に比べて少ない。また、県施肥基準量における溶脱窒素濃度の年間加重平均値は、10mgL-1未満である。
キーワード サトウキビ、窒素溶脱量、溶脱特性、簡易ライシメーター
背景・ねらい 奄美地域の重粘土壌は、黒ボク土に比較して、保水力、保肥力が小さい。この土壌で、分布面積の最も多い石灰岩風化土壌(典型普通暗赤色土)は、透水性が非常に良好である。これらのことから、作物に吸収されなかった窒素は、降雨に伴って溶脱し、地下水の水質に影響する。環境への負荷の少ない効率的な施肥技術を構築するためには、現状の施肥体系下での環境負荷程度を評価する必要がある。そこで、簡易ライシメーター法を利用してサトウキビのほ場レベルにおける溶脱特性と窒素溶脱量を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 土壌浸透水中の硝酸性窒素濃度は、梅雨の降雨による土壌浸透水量の増加に伴って高くなり、梅雨期間中にピークを迎えた後、次第に減少し、土壌浸透水量800mm以上では、大きな濃度上昇は見られない(図1)。
  2. 土壌浸透水中の硝酸性窒素濃度は、株出し栽培時が春植え栽培時に比べて低く推移する(図1)。
  3. 年間窒素溶脱量は、2005年度の春植え栽培時で12.7kg/10a、2006年度の株出し栽培時で9.3kg/10aと推定された(表1)。
  4. 溶脱窒素の加重平均濃度は、それぞれ9.6mgL-1、7.8mgL-1で、春植え栽培-株出し栽培2年間における窒素溶脱濃度の加重平均値は、10mgL-1未満である(表2)。
  5. 年間窒素溶脱量に占める月別割合は、6月が70~80%で最も多く、梅雨期間(5月中旬~6月)の年間窒素溶脱量に占める割合は、80~90%である(図2)。
成果の活用面・留意点
  1. 本情報は、効率的な施肥技術構築のための参考資料として活用できる。
  2. 石灰岩風化土壌(典型普通暗赤色土)のサトウキビ6~7年連作ほ場(堆肥無施用)において、奄美地域の主要品種`NiF8'を県施肥基準に準じて栽培し、目標収量が得られた試験での結果である。
  3. 施肥は、春植え栽培では、基肥3月下旬、追肥7月上旬、株出し栽培では、基肥3月上旬、追肥5月中旬に施用した。
  4. 簡易ライシメータの土壌充填厚は60cm、採水面は直径30cmの円、採水深は地表面から深さ100cmで、4反復の調査で得られた結果である。

図表1 223522-1.jpg
カテゴリ 肥料 さとうきび 施肥 品種

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