タイトル |
学習人モデルから見た新たな農業の担い手育成支援 |
担当機関 |
東北農業試験場 |
研究期間 |
1994~1994 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1994 |
要約 |
農業に魅力を感じて自己実現を図っていく担い手達の行動を、経済的条件の拡充整備に加えて社会的条件、人的条件、学習条件などから捉える学習人モデルの観点から支援していくことが、農業の新たな担い手育成支援のキーポイントである。
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背景・ねらい |
最近、農業の担い手の育成が大きな関心事となり、多様な施策が講じられつつある。しかし、農業経営基盤強化促進法に基づく「認定農業者制度」にしても新たな担い手育成の手がかりを直接示していない。そこでその第1着手として担い手の就農局面に焦点を当てて、経済的利害のみを重視する経済人モデルではなく、担い手を農業に魅力を感じて自己目標の実現を図る存在として経済的、社会的、人的条件などから捉える学習人モデルの観点から検討した。
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成果の内容・特徴 |
- 岩手県花巻市K地区の調査事例によると、量質ともに有力な担い手群として注目される若年の離職農業専従者は、経営耕地が5ha前後以上の規模と稲以外の野菜作などに4以上の販売品目数のある複合経営で生まれている。彼らに(1)自分の離職専従行動の要因、(2)就農時必要な支援の重点などについて自由回答調査を行って項目を整序し、次に主に重視する項目を各自にあげてもらった結果を解析すると、以下の諸点が指摘できる。
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離職農業専従者は、農外の雇用条件など就農をプッシュする要因や親のリタイヤなどのライフサイクル要因だけでなく,農業の魅力という就農のプル要因から就農するものが近年になるほど増加している(図1)。
- 離職農業専従者が必要と判断する就農対策は、第1に土地、資金、一定水準の技術などの基礎的条件整備、第2になかま、彼らと一緒にやる勉強会、経営管理のノウハウの学習などのソフト条件の整備、第3にハウスや高額機械のリースや先進農家や試験場の研修などイノベーション(技術革新)に対応した条件整備である(図2)。
- 最近年の離職農業専従者はソフト条件整備重視グループに、営農のベテランはイノベーション重視グループに属しているが、彼らは基礎的条件整備を前提としている。したがって担い手育成対策としては上述の3条件を基礎的、ソフト、イノベーションの序列を踏まえて有機的に整備していく必要がある(図2)。
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成果の活用面・留意点 |
広く農業地域に適用可能だが、問題局面に応じて調査項目等を工夫する必要がある。「学習人モデル」は、さしあたり池上惇、経済学-理論・歴史・政策-、青木書店、1991参照。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
経営管理
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