タイトル |
メチオニン(アミノ酸)の土壌混和のネコブセンチュウ密度低減効果 |
担当機関 |
農業研究センター |
研究期間 |
1998~2001 |
研究担当者 |
|
発行年度 |
1998 |
要約 |
アミノ酸の一種のメチオニンを土壌に混和すると、サツマイモネコブセンチュウの密度が顕著に低下する。また、トマトに対する線虫の寄生程度も下がり、トマトの生育が良くなる。メチオニン処理は、土壌中の物質循環などに有益な役割を果たす自活性線虫の密度への影響は少ない。
|
背景・ねらい |
1960年代を中心にアメリカ、イギリス等において、有害線虫や土壌病原菌の防除資材として、種々のアミノ酸の効果が試験されたが、コスト面から開発が断念された。近年、アミノ酸の生産コストが低下していることから、環境保全型農業における有害線虫防除技術の一つとして、メチオニンを対象に、ネコブセンチュウの防除効果を検討するとともに、自活性線虫の密度とトマトの生育への影響を調査する。
|
成果の内容・特徴 |
- 60kg/10a相当のメチオニンを土壌に混和すると、処理1週間後から5週間後には、サツマイモネコブセンチュウの密度は顕著に低下する(図1)。また、プラスチック・フィルムによるマルチ処理を想定したポリエチレン袋での密封処理の効果は見られない。
- メチオニンを混ぜた土壌で栽培したトマトの苗は、サツマイモネコブセンチュウの寄生が少なくなり、地上部の生育も良好となる(図3)。
- メチオニンを土壌に混和しても、土壌中で物質循環に大きな役割を持つ自活性線虫の密度への影響は少ない(図2)。
- これらのことから、メチオニンは、有害線虫に対しては選択的に密度低減効果を持つが、標的以外の生物への影響が少ない防除資材となる可能性がある。
|
成果の活用面・留意点 |
- ネコブセンチュウ密度の低減効果は20kg/10a相当量から認められる。
- 作用機構は不明であり、また、有害線虫に対する密度低下効果が低い事例もあることから、作用機構と高い効果を安定的に発揮させる条件を明らかにする必要がある。
- シストセンチュウやフザリウム等土壌病原菌に対して、リジン、フェニルアラニン等のアミノ酸が抑制効果を持つと報告されており、これらについても再検討が必要である。
- メチオニンに窒素が含まれることなどから、メチオニン施用に伴う窒素施肥量の削減の可能性等土壌肥料面からの検討が必要である。
|
図表1 |
 |
図表2 |
 |
図表3 |
 |
カテゴリ |
肥料
病害虫
コスト
施肥
土壌管理技術
トマト
防除
|