19. 抗アレルギー評価系に必要なヒトIgE抗体の産生誘導法

タイトル 19. 抗アレルギー評価系に必要なヒトIgE抗体の産生誘導法
担当機関 野菜・茶業試験場
研究期間 1998~2000
研究担当者 山本(前田)万里
川原 浩治(生研機構)
辻 顕光
発行年度 1998
要約  食品成分の抗アレルギー性評価に必要なアレルゲン特異的IgE抗体をヒト末梢血リンパ球から効率的に産生誘導する方法を確立した。この方法で活性化したリンパ球を細胞融合することによって、ヒト型IgEモノクローナル抗体が取得できる。
背景・ねらい
 茶を含む種々の食品の抗アレルギー性評価法の一つとして、ヒト免疫担当細胞株を用いた検定系の確立を目指している。アレルギーはアレルゲンと呼ばれる抗原とIgE抗体が引き金となって生じる。したがって、この抗アレルギー性評価検定系では、アレルゲン特異的なヒト型IgE抗体が必要不可欠と考えられる。しかしながら、体内、体外を問わず、リンパ球から産生されるIgE抗体は微量であり、研究に使用可能な量を取得することが困難である。そこで、ヒト末梢血リンパ球を用いて、効率的なヒトIgE抗体の産生誘導を試みる。
成果の内容・特徴
  1. 血中から分離したヒト末梢血リンパ球を、ダニ(Dermatophagoides
    Farinae)抽出物抗原(Mite-Df)と免疫活性化剤であるムラミルジペプチド(MDP)、インターロイキン(IL)-2、4、6を組み合わせて含む培地で培養すると、4種すべてを組み合わせた場合に100ng/ml程度のIgEの産生誘導が可能である(表1)。
  2. 産生誘導されるIgE抗体は、活性化に用いたMite-Df(ダニ抗原)に対して反応する。また、このアレルゲン特異的IgE抗体の他にも、
  3. IgMやIgG型抗体が本法により産生誘導され、いずれの抗体も対照であるヒト血清由来抗体に比較して、抗原であるダニ抽出物とよく反応する(図1)。  
  4. IgEを産生する活性化ヒト末梢血リンパ球とヒト融合パートナー細胞株であるICLU-B細胞とを融合し、IgE産生細胞の株化を行うと、効率よくIgE産生ヒト融合細胞株が取得可能である。一方で、活性化していないリンパ球を用いた細胞融合では、IgE産生細胞株は全く取得できない(表2)。
  5. ヒト融合細胞株の培養上清を用いて、抗原であるダニ抽出物との反応性を検討すると、ダニ抽出物と反応し、それ以外の抗原とは反応しないヒト型IgEモノクローナル抗体産生融合細胞株(3E7)が取得可能である(図2)。
成果の活用面・留意点
 IgE抗体産生細胞は、IgMやIgG産生細胞に比較してその抗体産生量が5分の1程度と低く、さらに、その分泌は不安定である。したがって、定期的な培地交換や一定の細胞密度の維持に努める必要がある。
図表1 224513-1.gif
図表2 224513-2.gif
図表3 224513-3.gif
図表4 224513-4.gif
カテゴリ 評価法

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