32. ブタ骨格筋における,ミオシン重鎖アイソフォームの発現様式解析法

タイトル 32. ブタ骨格筋における,ミオシン重鎖アイソフォームの発現様式解析法
担当機関 畜産試験場
研究期間 1998~2000
研究担当者 室谷進
千國幸一
中島郁世
田邉亮一
発行年度 1998
要約  ブタ骨格筋には4種類のミオシン重鎖(MyHC)アイソフォームが存在する。ブタMyHC-2xの部分cDNA配列を新たに決定し、決定した配列を基に、RT-PCR法を用いた、4種類のMyHCアイソフォームの量比を分析する方法を開発している。MyHCアイソフォーム発現様式は、ブタの筋肉によって異なる。
背景・ねらい
 ミオシンは、骨格筋の筋原線維タンパク質重量の約43%を占める、筋肉内の主要タンパク質である。成熟した家畜の骨格筋には、分子構造が少しずつ異なる4種類のミオシン重鎖(MyHC)アイソフォームが存在する(MyHC-2a,-2b,-2x,-slow)。この各アイソフォームがどの様な割合で存在しているかという、MyHCアイソフォームの発現様式は、食肉の品質、特に食感(テクスチャー)に影響を及ぼすのではないかと考えられている。しかし、MyHCアイソフォームの発現様式の分析法が無いことが研究上のネックになっていた。
そこで、RT-PCR法によって、ブタのMyHCアイソフォーム発現様式を解析する方法を開発することを目的に研究を行った。さらに、開発した手法を用いて、ブタの筋肉によるMyHCアイソフォーム発現様式に違いがあるかを検討した。
成果の内容・特徴
  1. ブタMyHC-2xアイソフォームcDNAのN末端部分配列(399
    bp)を新たに決定した。決定した配列を基に各アイソフォームに特異的なPCRプライマーを合成した(図1)。これらのプライマーを用いて、テンプレートに含まれる各MyHCアイソフォームDNAの量比に対応したPCR産物が得られるようなマルチプレックスPCR法を開発した。筋肉中のRNAから合成したcDNAをテンプレートとして上記のPCR法を行うことによって(RT-PCR)、筋肉中の各MyHCアイソフォームの量比を推定することが可能となった。
  2. ブタのMyHCアイソフォーム発現様式は筋肉によって大きく異なっていた。すなわち、胸最長筋はMyHC-2xが60%、MyHC-2bが30%、MyHC-2aが5%、MyHC-slowが5%であった。半棘筋においては、同、40,
    0, 25, 35%であった。半腱様筋においては、同、30,
    60, 5, 5%であった。舌筋では、MyHC-2aが50%であった。一方、横隔膜では、MyHC-slowが50%であった。半棘筋、舌筋、横隔膜にはMyHC-2bの発現がみられなかった(図2)。
成果の活用面・留意点
 本研究により初めて、4種類すべてのMyHCアイソフォームの量比を分析できるようになった。この手法はMyHCアイソフォームと食肉の品質の関連を明らかにする研究だけでなく、家畜組織学、家畜生理学の分野にも有効な手段となると思われる。
図表1 224525-1.gif
図表2 224525-2.gif
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