茶葉中のカフェインの迅速分析法

タイトル 茶葉中のカフェインの迅速分析法
担当機関 茶業研究部
研究期間 2000~2001
研究担当者 根角厚司
氏原ともみ
堀江秀樹
木幡勝則
発行年度 2001
要約 カフェイン含有量の低いチャの育種選抜を目的とし、高速液体クロマトグラフィーを用いたカフェインの迅速分析法を開発した。ポリビニルポリピロリドンを茶ポリフェノ-ル類のオンライン除去に用いた本法では、5分間隔で2000試料以上の連続分析が可能である。
背景・ねらい 低カフェイン茶への要望が強く、カフェイン含有量の低いチャ系統の選抜が求められている。このような系統の選抜には多数の試料中のカフェイン含有量を測定・比較する必要があり、そのためには迅速・簡便なカフェイン分析技術の開発が不可欠である。
成果の内容・特徴
  1.  高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による分析を迅速化した。この方法においては、温水による抽出以外の前処理は必要としない。
  2.  本HPLC法においては、ポリフェノール吸着剤であるポリビニルポリピロリドン(PVPP)をカラムに充填し(PVPPプレカラム)、分析用カラムの上流に配置する(図1)。
  3.  茶葉抽出液を分析したクロマトグラムを図2に示した。PVPPプレカラムを装着しない場合はカテキン類が分析の障害となる(図2a)が、PVPPプレカラムを装着することにより、カテキン類による妨害を除去できる。いっぽう、カフェインのピークはわずかにブロードになるものの、特異的に検出される(図2b)。
  4.  このシステムではカラム等を交換することなく、茶葉抽出液試料5マイクロリットルを5分ごとに2000回以上連続的に注入し分析することが可能である。
  5.  本法を採用することにより、試料毎にPVPP処理を行う手間が省け、またHPLCによる分析に要する時間が従来法の半分になる。

成果の活用面・留意点
  1.  PVPPプレカラムは、高速液体クロマトグラフ用のガードカラムに、メタノールに懸濁したPVPPを湿式充填することにより簡単に調製できる。ただし本プレカラムは、使用頻度に応じて詰め替える必要がある。
  2.  茶葉試料そのままの形でもカフェインの抽出は可能であるが、サンプリング誤差を抑えるためには、あらかじめ粉末化して均一化したほうがよい。
  3.  茶葉試料は必ずしも熱水や含水有機溶媒で抽出する必要はない。茶葉100mgに対し100mlの蒸留水を加え、50℃のインキュベータ中に1日放置後、上澄みをメンブレンフィルターに通すことにより、多数の分析用試料が簡単に調製できる。
  4.  本測定法は紅茶や茶飲料中のカフェインの分析にも用いることができる。ただし、コーヒー中のカフェイン分析に適用するには、さらに改良が必要である。

図表1 224548-1.gif
図表2 224548-2.gif
カテゴリ 育種 分析技術

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