タイトル |
コンパクトイオンメーターを用いた添加茶の一次スクリーニング |
担当機関 |
(独)農業技術研究機構 野菜茶業研究所 |
研究期間 |
1999~2002 |
研究担当者 |
氏原ともみ
堀江秀樹
木幡勝則
|
発行年度 |
2001 |
要約 |
グルタミン酸ナトリウムなどの調味料により味付けした茶(添加茶)を現場で簡単に一次スクリーニングするために、名刺サイズのコンパクトイオンメーターを利用したナトリウムイオン分析が有効である。
|
背景・ねらい |
添加茶(グルタミン酸ナトリウムを添加・着味した茶)の一次スクリーニングに、ナトリウムイオンを測定する方法が簡単である。しかしながら、ナトリウムイオンを分析できる機器として知られるイオンクロマトグラフ装置(IC)あるいはキャピラリー電気泳動装置(CE)は、高精度ではあるが、現場で利用するには高価すぎるため、より廉価なナトリウム分析手法を開発する。
|
成果の内容・特徴 |
- 操作は、ナトリウムの標準液で調整したイオンメーターの感応部に水抽出液を1滴滴下して、数値を読みとるだけなので、現場で簡単で安全に使用できる(図1)。なお、蒸留水(あるいは脱イオン水)および簡単な秤量器さえ準備できれば、定価数万円のコンパクトナトリウムイオンメーター以外に特殊な試薬や器具は必要としない。
- この方法で得られた値は、より精度の高いIC法で得られた値と高い相関があり、添加茶では通常の茶(無添加茶)に比べて高いナトリウム濃度を示す(図2)。
- 本法での分析値はCE法の値よりも高めの値を示すが、どちらの分析法を用いても、無添加茶のナトリウムイオン濃度は一定の範囲に収まる(図3)。この範囲を著しく超える茶では添加が疑われるものと判断され、本法は簡易な一次スクリーニング法として利用できる。
- 無添加茶では茶葉中のグルタミン酸とアスパラギン酸の量比が一定の範囲に収まるが、添加茶ではこの比が大きくなる場合が多い(図4)ので、(グルタミン酸)/(アスパラギン酸)比等も、一次スクリーニングで添加が疑われた場合の判別に適用できる。
|
成果の活用面・留意点 |
- 無添加茶であっても、潮風等の影響により図3に示した値より高いナトリウム濃度を示す場合はあり得る。また一方で、グルタミン酸ナトリウムが微量添加されていても、無添加茶に近いナトリウムイオン濃度を示す場合もあり得る。このことから、本法は現場でも利用できる簡易な手法ではあるが、本法だけで誤りのない判別が可能なわけではない。
- 上記のナトリウムやアミノ酸比に加えて、イノシン酸、グアニル酸などの核酸類の分析により、より正確な添加茶判別が可能になる。これらの核酸類は無添加の茶葉中には微量しか認められないが、添加茶では検出される可能性が高い。
|
図表1 |
 |
図表2 |
 |
カテゴリ |
茶
|