タイトル | ネギ類由来のスルフィドよる褐変抑制及びアクリルアミドの生成抑制 |
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担当機関 | (独)食品総合研究所 |
研究期間 | 2003~2005 |
研究担当者 |
アイ(株) エフ 永田忠博 岩橋由美子 細田浩 坂上和之(三栄源エフ |
発行年度 | 2004 |
要約 | ネギ属野菜から生成するスルフィド類には、高温加工食品におけるアクリルアミドの 生成を大幅に低減する作用、カットレタスやカットリンゴの酵素的褐変を抑制する作用及び糖とアミノ酸による非酵素的褐変を抑制する作用がある。 |
キーワード | ネギ属野菜、スルフィド、褐変抑制、アクリルアミド生成抑制 |
背景・ねらい | タマネギ、ニンニク、ネギ等のネギ属野菜には古くから薬効があるとされており、体調調節作用を もつ成分が明らかにされつつある。ネギ属野菜から含硫化合物の変化によって生じる特有の成分は体 調調節作用だけではなく野菜・果実の褐変を抑制する作用がある。また最近、調理・加工時の高温加 熱によりジャガイモ加工品などに発ガン性が危惧されるアクリルアミドが生成することが判明した が、ネギ属野菜から生成する成分はこのアクリルアミドの生成も抑制することを明らかにした。これ らの作用をもつ有効成分を解明するとともに、加工、流通現場で利用できる技術を開発し、食品の加 工、流通の改善に役立てる。 |
成果の内容・特徴 | 1.ネギ属野菜を磨砕し、有効成分を生成させた後、超臨界抽出、水蒸気蒸留などでイオウ化合物を 抽出する。また、切断したネギ属野菜や搾汁液もそのまま利用できる。 2.新鮮なリンゴ切片をタマネギ搾汁液に10分間浸けることによって褐変を完全に止めることがで きる(図1)。褐変を抑制する成分はイオウ原子が3つ又は2つつながり、両端にプロピル基等 が付いたトリスルフィドやジスルフィド化合物である。ニンニクでは両端にアリル基、ネギ、タ マネギではプロピル基、ニラ、ラッキョウではメチル基が付いたスルフィドが多い。 3.食用油に2 ppmトリスルフィドを添加してジャガイモを揚げると、フライドポテトのアクリル アミド生成量を 1/5 ~ 1/8 に低減でき(表1)、フライドポテトに異臭は付かない。 4.カットレタスと、カットレタスの 1/10 量の切断したネギ属野菜を接触しない状態で、ポリプロピ レン袋に一緒に包装しておくと、カットレタスの褐変が抑制できる。特にニラには強い褐変抑制 作用がある(図2)。 5.ネギ属野菜から生成するイオウ化合物の中には、2、4の酵素的褐変抑制のほか、糖とアミノ酸 による非酵素的褐変(メイラード反応)を抑制するモノスルフィドも含まれている(図3)。 |
成果の活用面・留意点 | 1.高温加熱によりアクリルアミドが生成しやすい食品の製造や褐変が品質劣化の大きな要因となる カットレタス等のカット野菜製造等に利用できる。 2.リンゴ切片をタマネギ搾汁液に浸けると、その後で水洗してもタマネギ臭がとれない。臭いをと るための洗浄法等の工夫が必要である。また、カットレタスをニラと一緒に包装すると、カット レタスにも臭いが付くが、軽く水洗して10分間程度おくと臭いがなくなる。臭いが気になる場合 はニラ以外のネギ属野菜を利用する。 |
カテゴリ | 加工 たまねぎ にら にんにく ねぎ ばれいしょ らっきょう りんご レタス |