脂質及びトコフェロール類(ビタミンE)類の腸管膜吸収機構の解明

タイトル 脂質及びトコフェロール類(ビタミンE)類の腸管膜吸収機構の解明
研究期間 2004~2006
研究担当者 長尾昭彦
都築和香子
発行年度 2004
要約 脂溶性物質の生体内動態を解明するために、大腸癌由来細胞系や動物実験系で、各 種構造脂質やトコフェロール類の吸収を調べた。腸管からの吸収の速い脂質代謝物が共存するとトコフェロール類の吸収も速くなることがわかった。
背景・ねらい 脂質の過剰摂取は、血管系疾患などの「現代病《と密接に関連があるが、脂質の中には、機能性 脂質や必須脂肪酸などもあり、脂質を「上手に《摂取することが重要である。しかし、これら脂溶 性物質の生体内動態については、十分解明されていない。本研究においては、食品中に含まれる多 様な脂溶性物質の効率的な摂取方法を提案するために、大腸ガン由来細胞を用いた腸管膜細胞モデ ル系や動物実験系で構造脂質やビタミン E腸管膜透過機構について調べた。
成果の内容・特徴 1.ヒト大腸ガン細胞由来の Caco2 細胞を用いて、3種類の腸管膜モデル系を構築した。Caco2 細胞 をウエル上に培養した系では、培養液から Caco2 細胞への脂溶性成分の吸収量を測定できる(図 1a)。また、ウエルに培養した Caco2 細胞をホルムアルデヒドで前処理して細胞活性を喪失させ た系では、細胞活性を伴わない脂溶性成分の吸収量を評価できる(図 1b)。トランズウエル上に Caco2 細胞を培養した系では、培養液から吸収した脂溶性成分が、Caco2 細胞を介して、基底側培養液に分泌される量を測定できる(図 1c)。
2.蛍光̶ HPLC 法による高感度な脂肪酸検出法を確立したので、細胞内へ吸収された微量な非放射 性脂質の検出ができ、様々な分子構造の脂質の挙動を調べることが可能になった。
3.胆汁酸等でミセル化された各種脂肪酸の Caco2 細胞への吸収速度は、脂肪酸の側鎖の分子構造 に依存していた。ステアリン酸やオレイン酸等の長鎖脂肪酸よりも、カプリン酸等の中鎖脂肪 酸やリノレン酸や DHA 等の多価上飽和脂肪酸の方が、活性のない細胞への吸収速度は速かった (図1b)。一方、細胞活性を有する通常の Caco2 細胞へ吸収された脂質代謝物はすぐにトリア シルグリセロールに再合成される。細胞中のトリアシルグリセロール量は、中鎖脂肪酸や多価 上飽和脂肪酸よりも、長鎖脂肪酸を吸収したときの方が多く (図1a)、再合成された脂質の腸 管膜細胞からの分泌量も同様の傾向があった(図1c)。
4.脂溶性ビタミンのひとつであるビタミン E Caco2 細胞への取り込みは、脂質代謝物が共存す るときに増大することがわかった(図2)。
5.抗酸化力が強くスーパービタミン E と呼ばれているトコトリエノールの Caco2 細胞への吸収速 度は、ビタミン E主成分であるトコフェロールより速いことがわかった(図3)。
6. ラットに脂質といっしょにこれらのビタミンE類を投与したところ、血漿中のトコトリエノー ルの増加、減衰は、トコフェロールのそれよりも速くなっており、腸管膜細胞系での結果は、 動物実験系でも裏付けられた(図4)。
カテゴリ 機能性

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