還元末端から単糖を遊離するエキソ型キシラナーゼの発見

タイトル 還元末端から単糖を遊離するエキソ型キシラナーゼの発見
担当機関 (独)食品総合研究所
研究期間 2004~2007
研究担当者 北岡本光
発行年度 2004
要約 Bacillus halodurans由来BH2105遺伝子を大腸菌に発現させて酵素を精製した。本酵素は キシロオリゴ糖の還元末端から単糖を遊離するエキソ型酵素であり、REX (Reducing-end-xylose releasing exo-oligoxylanase)と命名した。糖質の還元末端から単糖を遊 離するエキソ型酵素は世界初の発見である。
キーワード キシラナーゼ、エキソ型酵素、REX
背景・ねらい 近年多くの微生物のゲノム配列が明らかになるにつれ、既存の酵素と中程度のホモロジーを示すタンパ クをコードする遺伝子が見つかっている。我々はその中で好アルカリ性細菌であるBacillus haloduransの ゲノムに見いだされ、セルラーゼ,キトサナーゼ、キシラナーゼ等が含まれる糖加水分解酵素ファミリー 8(GH8)に属するが、キシラナーゼと30%程度のホモロジーを示すのみでその活性は明らかではないタン パクをコードする遺伝子に着目しその遺伝子産物の機能ならびに性質を調べた。
成果の内容・特徴 1.B. halodurns 由来 BH2105 遺伝子を大腸菌に発現させて遺伝子産物を調製した。精製された酵素は元々N末端を保っており、菌体内酵素である。
2.本酵素を同ファミリー内にある酵素が分解する基質であるキチン、キトサン、CM-セルロース、キシラ ンに対する活性は無かった。本酵素は重合度3以上のキシロオリゴ糖を初期に重合度の一つ少ないキ シロオリゴ糖とキシロースに分解し、最終的にキシロビオースとキシロースまで分解した。本酵素は 還元末端をメチル化したキシロオリゴ糖にはほとんど作用しなかった。
3.本酵素をグルコ・キシロヘテロ三糖に作用させてその活性を調べたところ、還元末端の単糖を遊離さ せていた(表1)。本酵素は還元末端のβアノマーを選択的に認識しており、その反応はアノマー反 転型であった(図1)。本酵素を REX(Reducing-end-xylose releasing exo-oligoxylanase)と命名した。
4.B. haloduransでは、他の通常細菌と異なり多くのヘミセルロース分解酵素が菌体内に分布していた。 REX は、B. halodurans がアルカリ性環境下で生育するために最小限の分泌酵素をアルカリ型に進化さ せ残りの酵素を中性型のまま菌体内に残す進化戦略上必要であると考えられた(図2)。
成果の活用面・留意点 本酵素は現在までに報告されていない活性を示すために具体的な用途に関しては検討の余地が多い。本 酵素の発見は、極限微生物における酵素系の進化の戦略を考察する上で重要な知見を与える。即ち、細胞外の環境が極端に異なる極限微生物においては菌体外のみならず菌体内にもユニークな酵素活性を持つ 可能性を示唆するものであり、今後の新規酵素のスクリーニングを行う上で考慮すべき点である。
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