紫外線(UV)写真を利用した野菜のフラボノール簡易検出法

タイトル 紫外線(UV)写真を利用した野菜のフラボノール簡易検出法
担当機関 (独)食品総合研究所
研究期間 2003~2005
研究担当者 安藤義路(動衛研)
中川博之(食総研)
野口裕司(北海道農研)
矢部希見子
発行年度 2004
要約 野菜は機能性成分であるフラボノイドを多く含み、それらは紫外光領域に吸収を示す。この性質を利用して、紫外光領域に感度のある紫外線写真でタマネギの表面や断面を撮影すると、フラボノールが局在する部分は写真上黒色像として検出された。紫外線写真法は抽出操作を必要としない簡便なフラボノール非破壊検出法であるとともに、野菜抽出液を用いればフラボノイドの濃度の予測も可能である。
キーワード フラボノール、紫外線(UV)写真、検出法
背景・ねらい 生体調節機能等の機能性成分として知られるフラボノイド類は、野菜や果実類に多く含まれている。 フラボノイド類のうちフラボノール類は黄色を示すが目での検出感度は低い。一方、フラボノールは 360nm近傍の長波長紫外光を吸収する性質を持ち、紫外線(UV)写真は紫外光の吸収や反射を撮影でき る写真技術である。そこで紫外線写真を用いて野菜におけるフラボノイドの高感度映像化技術を開発 した。
成果の内容・特徴 1.紫外線写真は紫外光領域の吸収や反射を撮影する写真技術であり、紫外線ランプ、紫外線透過レ ンズ装備のカメラ、可視光を遮断する紫外線フィルターを用いて写真撮影する。
2.タマネギ(赤タマネギ、黄タマネギ、白タマネギ)を縦に半分に切って、内側の鱗葉を剥がして 開いて台の上に置き、上部から紫外光(UV写真)または可視光(通常の写真)を照射し写真撮影す る(図1)。
3.赤タマネギと黄タマネギの鱗葉の外側は可視光写真で部分的または全体的に白く写るが、紫外線 写真では全体が真っ黒に写る。しかし、鱗葉の裏側は可視光写真でも紫外線写真でも白く写った。 一方、白タマネギでは両面とも白く写ることが確認された(図1)。
4.鱗葉の各部位からフラボノイドを抽出し高速液体クロマトグラフィーで調べたところ、紫外線写 真で黒く写る部分はフラボノールが高濃度に局在することが確認された。白タマネギではいずれ部位も全くフラボノールを含まないことが確認された。
5.フラボノイドがタマネギのように顕著な局在を示さない野菜の場合や、フラボノール含有量を知 りたい場合には、通常分光光度計による360nmの吸収を測定する。しかし、栽培や品種改良の現場 では分光光度計の利用が困難なことが多い。
6.タマネギの抽出液をマイクロタイタープレートや小チューブに入れ、または抽出液の一滴をビニ ール上に滴下して紫外線写真撮影を行うと、フラボノールの濃度に応じて種々の濃淡を示す写真 像が得られた(図2)。
7.種々の濃度のフラボノール標準液を作り、野菜抽出液といっしょに撮影した。標準液と濃淡を比 較することにより、簡便に抽出液のフラボノール含量を見積もることができた(図2)。
成果の活用面・留意点 ポラロイドカメラは高感度フィルムを使うため、紫外線レンズなしでも同様の紫外線写真が撮影 できる。本法を野菜の生産現場等で利用するには、紫外線写真装置の軽量化及び標準物質の供給が必 要である。
カテゴリ 機能性成分 たまねぎ 品種改良

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