タイトル | 農産物およびその加工副産物における機能性脂質セラミドの含量 |
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担当機関 | (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 東北農業研究センター |
研究期間 | 2002~2006 |
研究担当者 |
高桑直也 斎藤勝一 小田有二 |
発行年度 | 2004 |
要約 | リンゴから果汁飲料を製造するときに副生するリンゴ搾汁残渣およびてん菜から砂糖 を製造するときに副生するビートパルプを原料とすることで、高価な機能性糖脂質であるセラミドを大量に生産できる。 |
キーワード | リンゴ搾汁残渣、ビートパルプ、機能性脂質、糖脂質、セラミド |
背景・ねらい | 糖脂質の一種であるセラミドは、肌の保湿・美白効果があることから健康食品および化粧品原料に 利用されている。セラミドの供給源として牛脳が使われたこともあったが、現在では米糠や小麦胚芽 などの植物体を原料としている。しかし、これらに含まれるセラミドは微量(0.1~0.2 mg/g 乾燥重量) で、抽出・精製には多大なコストを要することから市場価格はきわめて高価である(3%含有品で 1 kg 当たり 20 万円)。そこで、より低コストで製造するのに適した原料を探すため、各種の農産物および その加工副産物におけるセラミドの含量を調べた。 |
成果の内容・特徴 | 1.図 1 に示す供試試料には、いずれもセラミドが存在する。その含量は 0.01~0.94 mg/g範囲で 存在しており、リンゴの搾汁残渣がもっとも高濃度のセラミドを含む。 2.現行のセラミド製造工程では、植物体中のステロール配糖体がセラミドの高純度精製を困難にし ており、供試試料においては 0.01~0.87 mg/g 含まれている。 3.リンゴ搾汁残渣のセラミド/ステロール配糖体比は 1.09 で、セラミドに対するステロール配糖体割合がもっとも少ないため、セラミドの高純度精製が容易である(他の試料は 0.02~1.00)。主 要な構成セラミド種は、脂肪酸が 2-ヒドロキシパルミチン酸およびスフィンゴイド塩基が 4-ヒド ロキシ-シス-8-スフィンゲニンで、既往の植物セラミドと類似した組成である(図 2)。 4.北海道ではビートパルプがセラミド原料として有望である。主要な構成セラミド種は、スフィン ゴイド塩基としてトランス-4,トランス-8-スフィンガジエニンを含む大豆セラミドと同一構造で ある(図 2)。 5.1 年間に発生するビートパルプすべてから、セラミドを抽出・精製すると仮定した場合、表のよう に大量に生産できる。 |
成果の活用面・留意点 | 1.セラミドは植物界に普遍的に分布しており、未利用資源の利活用の参考とする。 2.使用する品種および生産年によるセラミド含量の変動が予想される。 3.抽出は食品に適用できる溶媒としてエタノールを使用する。 4.正確なコスト試算をするには、パイロットスケールで有機溶媒抽出液からの精製試験を実施する必要がある。 平成16年度北海道農業試験会議における課題名および区分 課題名:農産物およびその加工副産物における機能性脂質セラミドの含量(指導参考) |
カテゴリ | 加工 乾燥 機能性 コスト 小麦 大豆 低コスト 品種 未利用資源 りんご |