フラボノイドの構造と抗炎症活性の強さとの関係

タイトル フラボノイドの構造と抗炎症活性の強さとの関係
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 食品総合研究所
研究期間 2006~2010
研究担当者 後藤真生
新本洋士
石川祐子
八巻幸二(国際農研)
発行年度 2006
要約 炎症反応の初期過程において重要な役割を担うプロスタグランジンの生合成は、ラットの炎症性腹腔マクロファージを用いた脂肪酸シクロオキゲナーゼ評価系において、フラボン骨格を持つバイカレインやアピゲニンなどで最も強く抑制される。
キーワード フラボノイド、アレルギー炎症抑制、脂肪酸シクロオキシゲナーゼ
背景・ねらい  近年、花粉症やアトピー性皮膚炎などのアレルギー性炎症疾患は増加の一途をたどっているが、食品によるこれらの症状低減を目的として、フラボノイドの抗炎症活性を明らかにする。炎症の指標として、炎症反応初期に重要な役割を担うプロスタグランジン(PG)の生合成に着目し、この律速酵素となる誘導型の脂肪酸シクロオキシゲナーゼ(COX)-2の蛋白質発現およびPGE2産生量に対するフラボノイドの効果について、構造活性相関を中心に検討を行う。また、特にCOX-2の選択的阻害剤は、副反応の少ない抗炎症薬として期待されていることから、常在型のCOX-1酵素蛋白質の発現についても併せて検討する。
成果の内容・特徴
  1. フラボノイドの構造とPG産生抑制活性を検討したところ、抑制活性を示すためには4位のケトン基が必須である。COX-2は酸化酵素であることから、抗酸化活性の高いカテキンやアントシアニンに高い抑制活性が期待されたにもかかわらず、PGE2産生抑制活性が認められない(IC50>1000μM)のは、この構造を持たないためと考えられる。さらに、C2-C3位における二重結合およびA環の5,7位の水酸基は活性を強める(図1)。
    また、配糖体とアグリコンではアグリコンの活性が高いことから抑制活性の発現にはフラボノイドの細胞透過性が関与するものと推定される。
  2. PGE2産生抑制活性は、フラボンに属するバイカレインやアピゲニンなどが最も高く、非ステロイド抗炎症剤であるAspirinR とほぼ同等のIC50(50%阻止濃度)値を示す。次いで、フラバノンのエリオディクチオールやナリンゲニン、イソフラボンのゲニステイン、フラボノールの7-ヒドロキシフラボノール、ケンフェロールなどにおいて高い抑制活性が認められる(表1)。
  3. さらに、強いPGE2抑制活性を有するアピゲニン等では、COX-2蛋白質の発現を選択的に抑制する(図2)。以上により、フラボノイドは、酵素活性阻害およびタンパク質発現抑制の両面から抗炎症活性を示すものと推定される。COX-2酵素蛋白質そのものの発現を選択的に抑制しうるフラボノイドは、副反応の少ない抗炎症活性成分としての利用が期待される。
成果の活用面・留意点
  1. 青果物などに含有されるフラボノイドは大部分が配糖体であるが、腸内細菌による糖の加水分解等によってアグリコンとなり、経腸吸収されることが報告されている。また、炎症局所では抱合体を分解してアグリコンとする酵素活性の亢進が知られており、有効性は高いと考えられる。
図表1 224631-1.jpg
図表2 224631-2.gif
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