タイトル | 精米粉末中カドミウムおよび主要ミネラルの分析に関する技能試験の提供 |
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担当機関 | (独)農業・食品産業技術総合研究機構 食品総合研究所 |
研究期間 | 2006~2007 |
研究担当者 |
安井明美 稲垣和三(産総研) 進藤久美子 成川知弘(産総研) 千葉 光一(産総研) 鎗田孝(産総研) 塚越芳樹 内藤成弘 |
発行年度 | 2007 |
要約 | 食総研では、各試験室で使用している分析法の点検等に役立ててもらうため、精米中のカドミウムおよび主要ミネラル分析を対象とした技能試験の提供を開始している。 |
キーワード | 精米、カドミウム、主要ミネラル、技能試験、IUPAC/ISO/AOACハーモナイズドプロトコル |
背景・ねらい | 技能試験は、分析法の点検等に活用してもらうことを目的として、実施者が分析対象の試料を参加試験室に配付し、各試験室から提出された報告値をデータ解析して試験結果報告書を返送するものである。試験室の技能試験への参加は、試験所認定(ISO/IEC 17025)や食品衛生法上の食品検査機関の登録の必須条件ともなっている。しかし、食品分析の技能試験はほとんどが海外から提供されているため、国内の試験室では、分析対象としている食品および成分の技能試験への参加が難しい。食品として国内で関心の高い米を選択し、行政的な低減施策が行われているカドミウム(Cd)と、成分表示等の関連で分析機会の多い主要ミネラルを対象成分とした分析技術の技能試験を食総研から提供する。 |
成果の内容・特徴 | 1.食総研から提供した技能試験では、2006年度には(独)産業技術総合研究所が製造した候補標準物質を、2007年度には食総研の製造による精米粉末試料を配付している(図1)。 2.精米中Cdのコーデックス基準値(0.4mg/kg・fw)をもとに、分析法の点検にとって適当なCd含量の米を入手し、均質な精米粉末試料を調製している。2006年度および2007年度の試料ともに、試薬のCdの添加は行っていない。 3.IUPAC/ISO/AOACの分析化学試験室の技能試験に関する国際ハーモナイズドプロトコル(2006)にしたがって、試料の均質性を確認した後(2007年度食総研実施)、試料を参加試験室に配付する。試験室から提出された報告値のデータ解析(表1、図2)を行い、試験結果報告書を作成し、参加者へ報告する。 4.2006年度は参加59試験室のうち57試験室が分析結果を報告し、2007年度は参加48試験室のうち47試験室が分析結果を報告している。 |
成果の活用面・留意点 | 1.報告書にはすべての参加試験室の試験結果が含まれるが、それぞれの試験室が特定されないようコード番号で識別されている。参加試験室は、自己の試験室にのみに知らされるコード番号によって試験結果を判断することができる。 2.技能試験の参加により、使用している分析法の自己点検ができる。zスコアの絶対値が2を超えている場合は、分析法に問題がないかの検討が必要である。 3.上述の試験所認定や食品衛生法上の検査機関登録には、技能試験への参加が必須条件であるほか、コーデックス委員会、農林水産省に危害要因の分析データを提出する場合においても、2年以内の技能試験参加の有無の報告が必要となっている。分析試験室は、各自の分析目的に適合した技能試験への定期的な参加が望まれる。 4.技能試験の運営に関するJIS Q 0043-1:1998(ISO Guide 43-1:1997の対応規格)の要求事項に従った品質システムを構築することが食総研の今後の検討課題である。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
カテゴリ | 分析技術 |