タイトル | 各種飯用米の老化性の評価 |
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担当機関 | (独)農業・食品産業技術総合研究機構 食品総合研究所 |
研究期間 | 2006~2010 |
研究担当者 |
大坪研一 鈴木啓太郎 |
発行年度 | 2007 |
要約 | 一般の飯用米に用いる各種品種の糊化粘度特性の評価から、冷やご飯のなりやすさを表す米飯の老化性推定値を求めた。老化性推定値(表層老化度)は、品種による老化性の違いを数値化でき、品質の指標として有望であると考えられた。 |
キーワード | 米飯の品質、老化性、食味、業務用途 |
背景・ねらい | 米飯の冷やご飯のなりやすさを表す老化性は、一般に使用する米飯の食味に影響し、また、お弁当やおにぎりなどの加工・業務用途における重要な品質の指標の一つである。従来の米飯に関する老化性試験では、評価に労力と時間を必要とするため、簡便かつ短時間での測定で、米飯の品質特性を表す老化性を推定できる評価技術が求められている。 |
成果の内容・特徴 | 1.全国の稲育種研究チームの育成米および市場に流通する米を用いて、当研究室で開発した新型RVA(ライスマスター)(図1)により、精米粉約3.5g、19分間の糊化粘度特性の測定から米飯に関する老化性推定値を評価した。 2.新型RVA(ライスマスター)の測定から求められる表層老化度(RetroIndex)は、品種により違いがあり、例えば、低アミロース米である「シルキーパール」や「スノーパール」は低く、次いで「ミルキークイーン」であった。他方、一般飯用米の中の表層老化度(RetroIndex)の値にも違いが見られ、「ほしのゆめ」は高く、「コシヒカリ」(北陸農研セおよび作物研)や「ひとめぼれ」は低かった。(図2) 3.本研究では、米飯の老化性の評価と同時に、米の食味に関連する特性を明らかにする目的から、成分であるタンパク質含量およびアミロース含量、RVAによる糊化粘度特性値、テンシプレッサーによる米飯粒の物性値、炊飯食味推定値、味度値等の各種物理・化学特性を評価した。その評価項目の中で、食味の官能評価と正の相関があるとされる米飯粒表層の物性値バランス度-H/H1は、「コシヒカリ」(北陸農研セ)や「ひとめぼれ」で高かった。(図1) 4.韓国の飯用米では、表層老化度(RetroIndex)は「Dasan」や「Chechung」が低く、他方、「Jinpum」が高く、日本産米に比べ、値が高い傾向が見られた。米飯粒表層の物性値バランス度-H/H1は、良食味米系統である「Odae」や「Ilpum」が高かった。 5.新型RVA(ライスマスター)による測定から得られる指標、表層老化度(Retro Index)は、米飯の老化性を推定する品質指標の一つとして有望であると考えられる。 |
成果の活用面・留意点 | 1.本成果情報は、育種段階での品種・試験系統米の高品質系統の選抜情報の一つとして利用できる。 2.本成果情報は、流通・消費段階での米飯の老化性の指標として活用できる。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
カテゴリ | 育種 加工 評価法 品種 良食味 |