アレルギー性、抗アレルギー性一次評価用DNAチップの開発と利用

タイトル アレルギー性、抗アレルギー性一次評価用DNAチップの開発と利用
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 食品総合研究所
研究期間 2006~2010
研究担当者 永井寛治(三菱レイヨン)
高橋弓子(三菱レイヨン)
小堀真珠子
大池秀明
丹羽誠(片倉チッカリン)
福島達伸(三菱レイヨン)
発行年度 2008
要約  食品成分の抗アレルギー作用及びアレルギー性等を一次評価できるDNAチップの開発を行った。本DNAチップを用いて、食品成分の炎症反応抑制効果及びマスト細胞活性化抑制効果等が評価できた。
キーワード アレルギー抑制、炎症抑制、DNAマイクロアレイ
背景・ねらい
 アレルギー及び関連する炎症性疾患を有する患者は国民の30%にのぼると言われており、更なる増加が懸念されていることから、アレルギーの抑制、緩和効果のある食品の開発やアレルギー抑制機構の解明が期待されている。そこで、本研究では喘息や花粉症を始めとするアレルギー、炎症作用及び食品成分によるそれらの抑制効果を評価するためのDNAチップを開発し、培養細胞や疾病モデル動物等に及ぼす食品成分のアレルギー抑制効果を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. アレルギーやそれに伴う炎症反応が起こると様々な遺伝子が発現して、それらの反応に関わるタンパク質(サイトカイン)を産生する。そこで、アレルギーや炎症に関与する約200遺伝子を選抜し、再現性に優れた繊維型DNAチップに搭載して、アレルギー性、抗アレルギー性評価用DNAチップ(アレルギーチップ ジェノパール® 三菱レイヨン(株))を開発した(図1a)。
  2. マクロファージの炎症反応は、アレルギー及び炎症性疾患に関与する。そこで、RAW264.7マウスマクロファージ細胞にバクテリアのリポ多糖(LPS)を作用させて炎症反応を誘導した後、RAW264.7細胞のRNAを抽出して蛍光標識し、DNAチップに結合させて、遺伝子発現を測定した(図1b)。
  3. その結果、炎症反応に伴い、65遺伝子の発現が蛍光強度で3倍以上に誘導されることが明らかになった。また、LPSと同時にニガウリ抽出物を添加することにより、これらの遺伝子発現は全て抑制され、ニガウリ抽出物が炎症抑制効果を示すことが明らかになった(図2)。
  4. 喘息における気道等の炎症を起こしている組織では、マスト細胞に近接する活性化T細胞の作用により、マスト細胞が活性化してアレルギーを重症化する。そこで、ヒト用DNAチップを用いて、活性化T細胞膜で活性化したHMC-1ヒトマスト細胞の遺伝子発現を測定した(図3a)。このとき活性化したHMC-1細胞では34遺伝子の発現が誘導されたが、活性化T細胞膜と同時にフラボノイドを添加するとこれらの発現は抑制され、本フラボノイドがHMC-1細胞活性化抑制効果を示すことが明らかになった。
  5. 化粧品等の安全性試験において動物実験の代替法が検討されているが、皮膚刺激性試験においては、再構成ヒト表皮モデルを用いる試験が検討されている。そこで、再構成ヒト表皮モデルに刺激性物質としてSDSを添加して培養し、ヒト用DNAチップを用いて測定した結果、10遺伝子の発現が誘導され、DNAチップを用いて皮膚モデルの刺激性が評価できることが示された(図3b)。
成果の活用面・留意点
  1. 開発したDNAチップはヒトや動物の培養細胞ばかりでなく、喘息モデルマウスの肺等、動物組織を用いる評価にも適している。その際は、適切な動物モデルの作成が必要である。

図表1 224658-1.jpg
図表2 224658-2.jpg
図表3 224658-3.jpg
カテゴリ にがうり

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