タイトル |
オーチャードグラス新品種「アキミドリⅡ」の育成 |
担当機関 |
草地試験場 |
研究期間 |
1985~1994 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1994 |
要約 |
オーチャードグラス「アキミドリⅡ」はうどんこ病抵抗性の極早生品種である。黒さび病抵抗性、雲形病抵抗性、および関東以西の収量性でもアキミドリよりやや優れ、アキミドリにかわって青森から九州高冷地での普及が期待できる。
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キーワード |
オーチャードグラス、うどんこ病抵抗性、極早生品種、黒さび病抵抗性、雲形病抵抗性、収量性
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背景・ねらい |
東北以南ではオーチャードグラスの栽培面積の大半を極早生、早生品種が占める。昭和51年に育成された極早生の「アキミドリ」は収量性と黒さび病抵抗性が優れるが、育成後に常発するようになったうどんこ病に弱く、発生時の減収や品質低下が大きい。このため、うどんこ病抵抗性の極早生品種が要望されてきた。
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成果の内容・特徴 |
生産力検定試験における収量性とうどんこ病抵抗性によって選抜した5系統について、それぞれ50個体(計250個体)を養成・集団採種してアキミドリⅡを育成した。5系統の内訳は、(1)アキミドリとうどんこ病抵抗性系統「ER571」からの選抜栄養系間多交配後代中の2母系系統、(2)関東~九州の収集エコタイプからの選抜栄養系間多交配後代中の1母系系統および(3)長期保存栄養系(エコタイプ、導入品種由来)から耐湿性検定で選抜して得た栄養系合成系統2点である。- 出穂始および出穂期はアキミドリより東北~九州高冷地の平均で2日程度早く、極早生群に属する。
- 病害抵抗性は、うどんこ病ではアキミドリの弱に対し強にランクされ、黒さび病では抵抗性品種のアキミドリよりやや強い。雲形病ではアキミドリよりやや強く、葉腐病ではアキミドリと同程度である(表1)。
- 乾物収量は東北ではアキミドリと同程度、関東以西ではアキミドリ比102~113(平均106)とやや多収を示す(表2)。また、収量の季節分布はアキミドリと同程度である。乾物率はアキミドリと同程度である。乾物消化率はうどんこ病発生時の1番草ではアキミドリより高く、2~5番草は同程度である(表1)。
- 盛夏期および越夏後の再生草勢からみた耐暑性、越夏性はアキミドリと同程度ある(表1)。
- 東北における越冬性はアキミドリと同程度、耐雪性はアキミドリと同程度の中である(表1)。
- 最終刈後の被度はアキミドリと同程度である(表1)。
- 草丈は1番草ではアキミドリと同程度、2番草以降ではやや低い。
- 放牧適性検定における採食率、採食程度および草丈利用率はアキミドリと同程度である(表1)。
- 採種量は46.3kg/10aで、アキミドリと同程度である(表1)。
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成果の活用面・留意点 |
- 普及対象地域は青森の平坦地(標高400mまで)~九州の高冷地(標高700m程度以上)で、アキミドリに置き替えて普及させる。普及見込み草地面積は、15,000haであり、採草放牧のいずれにも適する。
- オーチャードグラスの標準的な栽培管理法でよいが、極早生で春の生育が早いので、放牧利用では春の放牧開始が遅れないよう留意が必要である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
うどんこ病
栽培技術
新品種
耐湿性
耐暑性
抵抗性
抵抗性品種
病害抵抗性
品種
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